一兎 ページ5
雀のさえずりを目覚ましに起床した私は、自分の隣に敷かれているもう一つの布団を見ながら目を擦った。
「………夢じゃなかった…」
寝癖が酷い頭を抱えて振り返るは昨日のこと。
疲れきった体を癒やす為 休日を家で思う存分満喫していた私は、なんの前触れもなく突然体から煙が立ち上った。
ふと、その前の晩に異能力者達が消防士をやっているアニメをみたせいで発火人間になってしまったのではと物凄く焦ったのは まだ記憶に新しい。
「…んん〜……銀ちゃん、そこはマンホールアル…繋がってるのは銀ちゃんと同じ暗い人生だけヨ………」
「…ふふ」
隣で寝ている少女がハッキリとした寝言を言うもので思わず口元が緩み、笑い声が漏れた。
気持ちよく寝ている少女の口は半開きになっていて、そこからよだれが流れ落ちる。…そういえば、少女と同じ髪色を持つ彼…神威さんも似たような寝相をしていた。
「おはよーございまーす」
玄関先から聞こえてきた声に慌てて指で軽く髪を梳かす。鏡がほしい…なんて思いながら 未だ夢の中の少女を起こさないよう注意しつつ、先程まで使っていた布団を畳む。
「新八さん、おはようございます」
「あ、おはようございます。…この様子だとみんなまだ寝てますよね」
「はい。実は私もついさっき起きたところで」
襖を開けてリビングへ顔を出せば、声の主…新八くんが呆れた風に苦笑いを浮かべていた。 わざとらしい程大きい溜息をつくと、仕方ないなぁ、…と呟いてこの家の借主を探し始めた。
そんな新八くんの行動を眺めながら、再び記憶を遡る。
───全身を煙に包まれた私はいつの間にか意識を失っており、その間 自分の身に何が起こったのか全く分からない。
頬に当たる謎の違和感と共に次に目を覚した時には、既に万事屋を名乗る少女と二人の男性に出会っていた。
「いたいた、またこんなとこで寝て…銀さん起きてください!今日はねこ探しの依頼が入ってんですから!」
「うるっせェなァ……あと五分、あと五分だけ頼むよカーチャン…」
「誰が母ちゃんだ!!
全く…Aさんは先に起きてましたよ、だらしない姿さらして恥ずかしくないんですか」
「あ、いえ。私は気にしてないので…!」
急に自分の名前を出されてドキリとするも当たり障りない返事を返しておく。
実のところ 本当に気にしていない。
何故なら、私は万事屋さん達のことをずっと昔から見て知っていたから。
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おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時