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「今日は本当にお騒がせしました…。
時間も遅いので帰り道お気をつけて…」
「いえいえ。僕よりAさんの方が疲れてるんじゃないですか? ゆっくり出来るかわからないですけど、早めに休んでくださいね」
話し合いと食事。その両方共一区切りがつき、午前0時を回る前に新八くんは家へ帰っていった。
玄関先から新八くんの姿が見えなくなるまで見送った後 リビングへ戻れば、天井を仰ぐように銀さんがソファーの背もたれにだらりと体を預けていた。
「あ"ぁ〜…寝るか」
疲労の色を滲ませたその一言を合図に銀さんは洗面所へ向かい、その後に神楽ちゃんが続く。
顔を洗って歯磨きして…あ、着替えも。なら、順番が回ってくるのはまだ先になりそうだ。
待っている間に布団を敷いておこうと押し入れの襖を開ける。…よし、引き摺り出せば片手でもいけそうかな。
二段に重ねて仕舞われている布団を掴み、グッと引き出す。徐々にバランスを崩しながら手前へ雪崩れてくる布団に体が後ろへ傾きかけ、布団の下敷きにならないよう一歩退れば背中に何かが当たった。
「これ、どこに運ぶの?」
後ろから伸びてきた両腕が落ちかけの布団を掴んだ。
雪のように色白く逞しい腕。私の世界に居た頃よりも更に筋肉がついている。このまま私ごと運ぶ気なのではと錯覚しかける程 密着した体勢も合わさり、変に意識してしまう。
しかし、そんな少女漫画じみた思考を現実に連れ戻してくれたのは満足に動かすことのできない片腕。
反省しているのかわからない神威さんを相手に私はまだモヤモヤが治まってはいない。
大人げない態度とわかっていながらも無言でいつも神楽ちゃんと寝ている和室の部屋を指差せば、二組の布団を軽々と抱えた神威さんがそちらへ歩き出した。
「…神威さん、聞いてもいいですか?」
畳の上に布団を敷きながら、神威さんが此方を向いた。
良いとも悪いとも頷くでもなく、次の言葉を待つように神威さんは喋らない。聞くだけなら構わないということだろうか。勝手に考えを汲み取り、話を続ける。
「神楽ちゃんに言われて、そうなのかなって思い掛けていたんですが、でも どうにもしっくりこなくて。
神威さんはあの時 私の事が嫌いでやった訳じゃないですよね…?」
所々主語が抜けているが伝わると踏んで強引に話を進めていく。 神威さんは嫌いな人とわざわざパフェを食べに行く人ではないし、ましてや海に落ちかけてる人を助けるような真似はしない。
動機が分からない以上 怒るに怒りきれず、それが原因でモヤモヤも晴れずにいた。
「理由を教えてください」
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おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時