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「こう見えて近所のジジババから指名が多いんだぞコノヤロー。うちの稼ぎ柱に怪我負わせた責任取ってもらおうか、兄ちゃん」
「責任?」
…とは言ったものの、依頼の数が爆発的に伸びたわけじゃねえ。ただ、依頼してきた年配者からの差し入れは段違いに増えた。菓子だったり野菜だったり。
それらは、日頃 口癖のように「ご年配の方は大切にしないと」…と第二の新八さながらに手を差し伸べるAの人柄の賜物だ。
テメェのやらかした事の重大さに首を傾げる目の前の奴に爪の垢を煎じて飲ましてやりてえ。
「見ろ、あいつの顔を。この期に及んですっとボケるつもりだ。いけ!最終兵器!」
恐らく向こうさんが聞かれて答え難いであろう言葉を最終兵器ことAに伝授し、立ち向かうよう肘で突いてやれば、顔を逸らしたままだが漸く重い口が開いた。
「…神威さん」
「ん?」
「神威さんは、私のこと嫌いなんですか…?」
「………」
笑顔は変わらない。
だが、口の減らない神威の勢いは明らかに止まった。
「そんなの聞くまでもないアル。
嫌よ嫌よも好きのうちって言うアルが嫌いな奴は一生嫌いのままネ。だから気に食わない奴はボコボコにするアル」
「…じゃあ、そこまで嫌われてしまったってことなんですね」
後ろからAの肩に手を添え、分かったような口を利く神楽の演技がかったそれにAも釣られて返す。
伏目がちに包帯部分を見ながら悲しげな雰囲気を出すAに、神威は無言で立ち上がり背を向けると、おもむろに懐から取り出した機器を耳元に押し当てた。
「あ、もしもし? 阿伏兎? 俺俺。やだなぁ、詐欺じゃないってば。 ……あはは、減給されたいの?」
「──そうそう。悪いけど、女の責任取ることになったから暫く休むよ。後のことはよろしく」
どうやら電話のようだ。阿伏兎、と聞き覚えのある名前は神威と一緒によくいる男。そいつとの連絡を終えた神威は振り向きざまにとんでもない事を言い出した。
「という訳だから、暫く世話になるよ。
いや、この場合俺が世話をするのかな」
「そ…それってどういう…?」
「片腕が使えなくて不便って話だろ。
だから、俺がその手助けを」
「いや、責任ってそういう意味じゃねえ!!
生憎テメェの寝床の数も足りてないんで金だけ置いてお月様へ帰ってくれませんかね」
「金ならないよ。
それに寝床がないならソレ(A)と一緒に寝るから」
「おい、新八。今すぐ11●番だ、急げ」
勝手が過ぎる爆弾発言にツッコミも追い付かず、頭が痛くなってきた。ああ、甘いモンが食いてェ…
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おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時