兎少年と一週間(弐)

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気まずい。なんだこの気まずい空気は。
こんな気まずくなるのはアニメ銀魂を夕飯時に観る家庭くらいでいいんだよ。下ネタぶち込んでお父さんとお母さんと気まずくなりました、どうしてくれるんですか？って苦情がくんのも全国のP●Aから睨まれんのももう十分なんだよ！原作は完結してんだ勘弁してくれ！

俺の横で不貞腐れるように神威から顔を背けるAと相変わらず脳天気にニコニコ笑ってやがる神威(元凶)を引き離したはいいがどうすんだこれ。
取り敢えず、慰謝料でもふんだくっておくか？

「働き盛りの娘っ子に怪我負わせるたァ、どういう了見だコノヤロー」

威圧感を出しておこうと新八が運んできた湯呑みを机の上に叩きつけてやった。思ったより大きく音が鳴り、手付かずの茶が零れた。
隣に座るAがふきんで茶飛沫(ちゃしぶき)を拭きながら、不満気な視線を送ってきた。今のは銀さんが悪かったね、ごめんなさいね！

「俺の部下は腕一本失くしても献身的についてきてくれてるよ。口煩いけど」

「いやいや、お宅ら夜兎の常識押し付けんのやめてくれませんかね」

「夜兎でひと括りにしないでヨ。
神威(コイツ)の頭がおかしいだけネ。私なんてチンピラチワワに手(ココ)やられた時はブチ切れもんだったアル。やり返したけど」

「なんだ？ 兄妹揃って人の骨砕くのが趣味なのか？？」

バイオレンス過ぎんだろ。あ、神楽にやったらやり返せって言ったのは俺だったわ。

「神楽(お前)は考え無しにやっただろうけど、お兄ちゃんはちゃ〜んと利き手は避けたよ。お前と違って」

「そういう問題じゃねェェ！！！
まじどうなってんの？なぁどうなってんの？？誰かコイツらの保護者連れてこい。あ、ハゲか」

ハゲがこの事を知ったら親子喧嘩で星一つ消し飛ぶ。
今の話はなしだ、無し。となると、手綱を握れる可能性があんのは被害者であるA。
上手いこと言いくるめさせたいが……。

「お前からも言ってやれ。痛かっただの、嫌いになりましただの言えば野郎だって罪悪感くらい芽生えるかもしれねえ」

まぁ、ミジンコくらいの確率だが。
Aに、そんな提案を小声で伝えてやれば逸らしていた顔を神威に向けた。

「………」

「言いたいことがあるなら言いなよ」

やめろやめろやめろ！ なんで加害者のテメェが圧かけてんだ！Aも怒ってるんだろーが！また顔を背けるんじゃありません！言い返してくれ頼むから！

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