▼ ページ29
「いや〜参った参った。 まさか
所々擦り傷を負いながら、服に付着した土埃を払う沖田くんを正面に捉えた神威さんの口元が愉しげに歪む。
いつ相手に飛び掛かってもおかしくはない緊迫した状況。
双方が睨み合う中 神威さんの蒼い瞳がつり上がっていく。 安全な場所に避難するのが利口だと頭では分かっているのに、私は神威さんの隣から離れられずにいる。
少しでも此方に意識が向くように掴んだままの神威さんの腕に力を込めた。すると、
「邪魔するなよ」
…冷たく棘のある言い方をされ、手を振り払われてしまった。
要らないと突き放されたようで、ズキリと胸が痛む。
これ以上 口を出して嫌われてしまったら。…想像すればする程 胸が締め付けられる。
そんな中 ふと、沖田くんの方から視線を感じた。
「しっかし…ブスな妹以外にもセンスの悪いコスプレ豚を飼ってるたァ悪趣味もいいとこだ」
「神威さん、私今ならどど●波撃てそうな気がします。
指先からビームいけちゃいそうです、三発くらい」
「アンタにそんな
沖田くんを見据えながら神威さんは私の額に手を当てて押し退けると、肩慣らしをするかのように傘を大きく振り下ろし一歩前へ出た。
「非力なアンタの代わりに俺が殺ってあげるよ」
「あ〜、でも」
声色が少しだけ高く変わっていく神威さんに、私が口を挟むより先に沖田くんが言葉を発した。
「趣味が悪いわりに、イイ顔で泣くのはたまらなかったなァ」
…一瞬 ピシリ、と空気に亀裂が入った気がした。
背中しか見えない神威さんがどんな顔をしているのかわからないけれど、肌で感じ取れるほど嫌な雰囲気が放たれている。
「い…痛くて泣いちゃうのは自然なことで、」
「へぇ、 痛いことされたんだ。 誰に?
連れている
それどころか、間髪入れず返ってきた神威さんの声は低く、機嫌の悪さが隠しきれていない。
「A」
黙る私に痺れを切らしたのか、返事を催促するように神威さんに名前を呼ばれて肩が跳ねた。
こ…ここ怖くて神威さんを直視することができない。
相手の心情と自分のおかれている立場がよくわからなくなり、右へ左へと目を泳がせる。
ふいに沖田くんの方を見れば、こうなる事を望んでいたのか、あくどい笑みを浮かべていた。
211人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時