兎少年と一週間(弐)

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「よし 神楽。それを口に当てて銀さんのこと "兄さん" って呼んでみてくれ。なんか手ェ合わせたらできそうだわ。パンッ！ってできそうだわ」

「できるかァァァ！！ほんっともうこれ偉い人に怒られるどころの騒ぎじゃなくなるんで！訴えられるレベルなんで！！」

「 "兄さん、頑張って！" 」

「神楽ちゃんんん！！出版社という名の高い壁飛び越えちゃダメだからね！？」

「でも 銀魂が載ってるのはジャンプアル」

「あ〜なるほど！ジャンプだから飛び越える…って、いやいや上手いけれども！上手いけれども！！」

神楽ちゃんからアルミ缶を取り上げている隙に、銀さんは両手を合わせて床に手のひらをついた。まずい、この絵面はまずいぞ…！！

屈んでいる銀さんを早く起き上がらせようと後ろから腰に手を回し、そのまま持ち上げようと試みる。…が、しかし。その時 僕たち万事屋は想定外の事を巻き起こしてしまっていた。


「え゛、お、おおおい新八クン？なんか煙出てきたんだけど。モクモク白いやつ出てきちゃってるんだけど！？」

「銀さん何したんですか。あのホントこういう演出いらないんでほんと」

ドライアイスを水に落としたかのような白い煙に、僕ら二人は頬を引きつり笑い合う。神楽ちゃんに至っては楽しげに目を輝かせて突如湧いて出てきたそれの中心に飛び込んでいった。

「銀ちゃん！新八！ なんかあるネ！」

「何か？え？なに？なんなの？？何があるの神楽ちゃん」

「どうするんですか銀さん。なに錬成したんですか」

「新八、知らねえのか。無から有は生み出せないってエルリックくんも言ってただろーが」

いや知ってますけど。だが 神楽ちゃんは何もなかった場所に何かがあると断言している。まさか銀さん、何でも生み出せる伝説の赤い石拾ってきたんじゃ……なんて現実逃避していると神楽ちゃんが煙の中から何かを引きずるように出てきた。


「…ぎ、銀さん。こここれどうするんですか」

煙の中から現れた "それ" に顔が青ざめていく。
目を瞑り、力の入っていない体をぐったりさせている少女──…と呼んでいいのか判断がつきにくい外見の女性。
意識がないのか、それとも…。い、いやいやいや。変な考えはよそう。まずはやらかした本人に確認を取らせなければ。

「銀さん！ ………何してるんですか」

「見てわかるだろ、タイムマシン探してんだよ」

机の引き出しに頭を突っ込んでいる上司の尻を僕は思いっきり蹴飛ばした。

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