プロローグ ページ1
(side 新八)
ある晴れた日。その日はいつもと何ら変わらず、依頼のない僕たち万事屋は各々暇な時間を過ごしていた。
「そろそろよぉ、必殺技とか必要だと思うわけよ」
小指で鼻の穴をほじくりながら、テレビを眺めていた銀さんが突然そんな事を言い出した。
また何を言い出すんだこの人は。
定春と戯れていた神楽ちゃんとソファーに腰掛けていた僕は、おもむろに顔を見合わせて銀さんの方を向いた。
「…それ前も言ってませんでした?」
「言ってたアル。ゲームになったら〜って前も話してたネ」
「ばっかお前ら、いいか?ゲームはオマケだオマケ。
あれは言わば "ボクたちゲーム会社さんのこともちゃんと気遣ってるんですぅ〜" ってアピールなんだよ」
「いや、今更そんなアピールしてどうするんですか」
そもそもこの世界観で必殺技なんて求める方がどうかしてる。天下のドラゴ●ボールやワンピ●スじゃないんだから。そこのところ銀さんも分かっているはずだろうに、と溜息を吐く。
どうせまた、男はいくつになっても夢を追い続ける生き物だとか何だと言うに決まってる。付き合ってられないと台所へ立てば、僕がいない間に銀さんが神楽ちゃんを隣に呼び寄せていた。
「おい神楽、これから必殺技がねえと何が起こるか分かるか?」
「えーと。…あ!わかったアル!ゴリラ原作者がお腹にウ●コつまらせて便秘になるアル!」
「惜しい!」
「何が "惜しい!" ですか!?
神楽ちゃんも女の子なんだからそんな言葉使っちゃダメだから!」
僕がいない間にとんでもない会話しやがって! 淹れたばかりのお茶片手に二人に駆け寄りツッコミを入れれば、銀さんは人差し指を指すとそれを左右に振った。
「いいかお前ら、よ〜く聞け。必殺技がないと後輩の奴らが我が物顔で出しゃばってくる。魔法だったり能力与えられたヒーローしかり、奴らはやりたい放題だ」
「やりたい放題なのはアンタだァァ!!また怒られても知りませんよ!」
「そこでだ」
「あ、続けるんですねこれ」
銀さんは、懐からアルミ缶を取り出すと神楽ちゃんに手渡した。神楽ちゃんは覗き込んでは首を傾げている。どうやら中は空のようだ。
…なんだろう、すごく嫌な予感がする。
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おいも(プロフ) - えりぃさん» コメントを頂いてからお時間があいてしまいすみません( ; ; )少しでも神威さんの良さをお借りできたら、と思っていたのでそう言って頂けてとっても嬉しいです(´ `*)これからも楽しんでもらえるように精進致します…! (2020年9月16日 0時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
えりぃ(プロフ) - とっても面白いです!神威がカッコ良すぎます!続きたのしみにしています(ω) (2020年9月9日 10時) (レス) id: 0b16f52b12 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - みさまるさん» 引き続き楽しんで頂けていてよかったです(´ω`*) 更新の度になんて嬉しいお言葉まで…( ; ; )疲れがスススッと飛んでいきました…!ありがとうございます(*´ `*)三(*´ `*) (2020年8月16日 21時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
みさまる - 更新のたびに楽しく読ませてもらっています!そして最近の展開にドキドキ(* >ω<)ヤバい〜面白いです!更新ありがとうございます!!! (2020年8月15日 21時) (レス) id: fa0a68f749 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - しおりさん» ほほ本当ですか…!ありがとうございます!私もコメントを頂けてドキドキしてしまいました…!(*´ω`)少しでも一日の活力の足しになっていましたら幸いです(´ `*) (2020年8月5日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2020年5月6日 18時