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「……来たな」
「はっ、初めまして…」
「つけられてはいないな?」
「つけられていたら速攻足へし折られてるかと思います」
「──…。愚息が世話をかけた」
目元を覆うゴーグルを上げたその人は鋭い眼光でジッと見つめてきた。
宇宙最強と名高いえいりあんはんたー、星海坊主さん。
随分前に私がSOSの手紙を送ったその人である。
「コレが届いた時には悪戯かと思ったが…」
「申し訳ありません…!」
" 貴殿の息子殿からセクシャルハラスメントを受けております。助けてください。地球に行きたいです。 "
いつだったか神威さんに無茶難題を押し付けられ、怒りに身を任せてこんな拙い文面を送ったことがあった。
正直 自分でも初対面の方に送るのに失礼な文面だったと頭が冷えてから後悔していた。仲が悪くとも身内の事を悪く言われて気を良くすることは早々ないはず。
悪戯だと捨てられているに違いないと思っていたから、まさか本当に助けに来てくれるなんて。
「ずびっ…! 来るまでハンカチ二枚濡らしてて…ここに来て追加で五枚くらい行けそうです。感極まって」
「そうか、それでお嬢さんは目を腫らしていたのか。最初新種のえいりあんかと思った」
星海坊主さんいれば地球に帰れる確率はグンッと跳ね上がる。 このまま神威さんとさえ会わなければ帰れる。
そう、神威さんと。 ………いないですよね?大丈夫ですよね? 私今めちゃくちゃフラグ立てまくりましたが大丈夫ですかこれ。
「お嬢さん、キョロキョロしてると怪しまれるからやめなさい」
「はっ!す、すみません」
「だが、警戒心を持つのはいいことだ。
早めに乗っておくか…。おじさん地球まで送るから」
「! お、お義父さんと呼ばせてください…!」
「…
「あ、息子さんとは被害者と加害者な関係です」
神威さんとの関係を問われると些か説明が難しい。
色恋沙汰のそれでないのは確かなので訂正させてください。 何か言いたげな表情を浮かべている星海坊主さんをよそに地球行きの船を見上げる。
…神威さん達とはこれで最後。
「…(お世話になりました、)」
少し後ろ髪を引かれる思いで船内へ続く階段を登り、船内へ乗り込む。
安心してください、第七師団の内情は墓場まで持っていきます。だから私の事は秒で忘れてください。
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時