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「……まぁ、奴等が女のケツ必死に追い掛けて来るとも限らねえか」
「…え?」
「依頼は請け負う。が、条件が一つある。
最低でも半年は奴等が彷徨いてねえか、アンタ自身が安全かどうか。それが分かるまで家で大人しくしてろ。
大丈夫だったなら探してやるさ」
「さ、坂田さん……!」
すごいセリフ長い…!本誌だったらかるーく読み飛ばされるお馴染みのあれに感動しつつ、私は一つ伝え忘れていた事を思い出した。
「ありがとうございます…!
でも私今家ないです、住所不定無職です」
「え。で、でも流石に実家はありますよね? ね、銀さん! 家族の人にも事情を話して、」
「今どこに実家があるかわかりません」
「よーし。この話はなかったことにしよう」
もう話は終いだ、帰れ! そうシッシと手を振るうと銀さんはソファーに寝転んでしまった。
新八くんも困った様に肩を落としている。も、もしかしなくてもここに来てのホームレスデビュー…!
まるでダメな女略してマダオとして公園の番人になるしか道は残されていない。毎日空き缶集めて自販機の下に小銭が落ちていないか周る悲しい日銭稼ぎをする自分の姿が目に浮かぶ。長谷川さん家のマダオくんとエンカウントしたらケンカになりそう。
「ネ、」
鈴のように可愛らしい声。
服の裾をくい、っと引っ張られて自然とそっちに顔が向く。
「ご飯作ってたって言ってたアルな」
「は、はい! 見た目とか気にしないかーちゃんレベルですが…!」
「私今 めっさお腹空いてるネ」
──グモオオォォォ!
…神楽ちゃんのお腹から猛獣みたいな声が鳴った。
「ご飯ヨロシ?」
「よ、よろしいです! 食べたいものありますか?」
「おい神楽」
「肉めっさ食べたいアル!」
「ちょっと神楽ちゃん!
うちの冷蔵庫は空っぽで…!」
………おねだりの仕方が可愛い。
可愛すぎて思わず好きって言いそうになった。
もう神楽ちゃんの胃袋を幸せにする為だけに万事屋に就職したいです。
一言断りを入れてから冷蔵庫を空けると新八くんが言うように中は材料と呼べるものは何も入っていなかった。あるのは卵くらい。
「はっ…! あの!坂田さん!」
「何だ、うちの冷蔵庫に文句つける気か?
悪ィがうちも生活が厳し…」
「いえ、冷蔵庫事情ではなくて」
私は今住むところがない。家を探すにしてもその分諸々貯金を崩しても半年暮らしていけるかも怪しい。
ならば、万事屋さんに食費を提供して家賃を浮かす代わりに住み込みで働かせてもらえれば私もハッピー、万事屋さんもハッピー!
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おいも(プロフ) - 紫姫さん» 最後までお読みくださりありがとうございます🐰💓 トリップにも理由があるのかも、と考えた末辿り着いた場所がちょっとしたホラーになってしまいました((🙊)) 不完全燃焼気味のラストでしたが少しでも楽しめていただけていたら幸いです🙇 (2021年9月21日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫姫(プロフ) - まさかの結末でごっさ驚きました!!そして少し怖かったです(笑) (2021年9月19日 18時) (レス) id: eab8838b37 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - カビキラーさん» 最後までお読みくださりありがとうございます(*´ω`) 以前から少し変わったお話を書いてみたかったので驚いてもらえて嬉しいです(∩´∀`)∩ トリップは色んなENDになれる楽しさがあるのでこの後二人が結ばれる世界線もあるかもです…! (2020年2月17日 20時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
カビキラー - 神威と結ばれるのかなと思ってたのでオチで驚きました!軽く怖っ!って思いました笑 (2020年2月13日 19時) (レス) id: edf3a1c316 (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - 氷華さん» わー!ありがとうございます…! 二人にはまた巡り会ってもらいたいので、もし続編を書く機会があればハッピーエンドにしてみたいです!(´ω`)! (2019年12月26日 19時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年10月16日 19時