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知らない人ですよ!知らない人危ない!ついて行っちゃいけない!ダメゼッタイ! 手を罰にして抗議すると店長から思わぬ言葉が飛び出した。
「知らない人じゃないだろう?お得意様じゃないか」
「……え?」
お得意様? 首を傾げてお客様を見る。暗がりに慣れてきた目を凝らすと確かに見知った顔がそこにあった。
実際に会うのは今日で二度目ではあるものの、紙の上では何度もみたことがある渋い顔立ち。…阿伏兎さんだ。
最初会ったとき気付かなかったけど、神威さんとセットで描かれる事の多い苦労性の "あの" 阿伏兎さん……!
確かに最近 出前を多く注文してくれているうちのお得意様に違いない。店長よく気付きましたね! そう興奮気味に訊けば、声でわかったとのこと。大体電話対応するの店長だもんなぁと腑に落ちた。
「……私、ナニカシマシタカ?」
阿伏兎さんだとわかり、別の疑問が浮かび上がる。
何故 私は連れていかれなければならないのか。だらだら、冷汗が背中を撫でて落ちていく。
「お前さん、うちの団長と約束しただろう?」
「………約束ですか?」
団長、つまり神威さんと私が約束。
神威さんと会ったのは一ヶ月前…神威さんが直々にお店でご飯を食べた時。 他は出前が主だったけど、それは他のバイトの先輩達が届けに行っていたから、私と会うこともなければ約束する機会もなかったはず。
「カレー?とやらを作る約束したそうだが、その様子じゃ団長の聞き間違えか」
「!あ、カレーってもしかして…ええ!?あのこと覚えてたんですか!?」
一ヶ月も音沙汰なかったからすっかり話は流れたものだと安心して記憶から消し去ってた…! な、な、なんてこと…!神威さん、カレーを一ヶ月も待ってたんですか…!
「カレーを待ってたなんて、なんか可愛いですね」
「本人の前で言ったら嬢ちゃん命ないだろうなァ」
「すみませんがこのことは内密にお願いします」
うちの店で使える割引券を
「それではハッピーのまま帰りま、ギャーッ!!」
「Aちゃん、お客さんに失礼のないようにね」
「店長っ、今失礼されてるの私です…!」
阿伏兎さんの横を通り過ぎようとしたら、ものっそい力で担がれて視点がぐるりと一回転。助けを求める私に店長は楽しげに手を振っている。て、店長ーーーー!!
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時