オジサン兎と兎少年+α ページ35
(side 阿伏兎)
「…あんのすっとこどっこい。またやりやがったな」
デスクに乱雑している書類の山々に大きな息をつく。
何度言っても俺のとこにテメェの分を持ってきやがる。
やっと昨晩 自分の分を片付けたばかりだと言うのに。どれもこれも目を通すだけの簡単なものだが、団長にとって退屈な仕事なのだろう。
ドンドンドン
何処から手を付けようか悩んでいた矢先 部屋の扉が叩かれた。叩き方からするに団長か。テメェの仕事丸投げしておいて部下に会いに来るたァうちの団長様は面の皮がお厚いようだ。
「や、暇?」
「どこぞの団長様の仕事がたんまりございますよ」
「暇ならちょっと手伝ってよ」
相変わらず人の話を聞きやしない。
仕事を手伝わせておいて更になにを手伝えって言うんだ。頭を掻きながら団長へ目を向ける。
……あ?
うちの団長様は、なんでガキなんて抱いてるんだ?
「オイオイ。何処のガキ攫ってきたんだ」
「見覚えない?」
「見覚ェ?」
生憎ガキの顔なんざ一々覚えてられねェ。
団長が抱くガキに顔を近づける。
「や!」
ぺちっ。 ガキの小さな手のひらが頬を叩いた。
痛くも痒くもねェが叩いた後 団長の胸に顔うずくめる行動は癪に障る。頬を引きつらせれば、団長は人を小馬鹿にするように笑った。
「阿伏兎って子供の扱い方わかってないよね」
「五月蝿ェやい」
そう言いながら団長は機嫌を損ねたガキをあやす。
あァ、確か団長には妹がいるんだったな。
妙に手慣れている事に納得いくが…団長に抱かれながら恐る恐る俺を見るこのガキ確かに何処かで見たことがある。
「んン?…よく見りゃァ嬢ちゃんに似てるな」
「やっぱりそう思う?」
「まさかとは思うが隠し子か」
「何処の馬の骨とズッコンバッコンしたんだろうね」
口振りからして団長でないことは確かなようだ。
他の団員か?…否、大きさ的に言っても三歳くらいだ。なら、その線はなさそうだが一体当の本人はどこで何やってんだ。
そもそも最近 団長の命令で首から「俺の」とデカデカ書かれた板切れを下げている。団長の物とわかるソレに手を出す命知らずはこの艦に存在しない。
「ん! びよんびよん!」
団長のアンテナ…アホ毛にガキの手が伸びる。
すかさずその手を自身を抱く男に止められれば、不思議そうな表情を浮かべ首を大きく傾げた。
「だぁめ?」
「ダメ」
「そっかー」
どうやら聞き分けはいいようだ。
団長に駄目と言われるとそれ以上髪を触ることはせず、大人しく団長に抱きついた。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時