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「よ、よォ団長! 飯はもう済ませたんじゃ」
「うん。腹ごしらえも済んだから昼寝でもと思って
尻もちをついている私の前に神威さんが屈む。
くりっくりの大きな瞳が私を捉えるとニコリ、微笑んだ。ゆっくり神威さんの手が顔に近付いてくるのを目で追っていると、
──ゴン!
石がぶつかったような音と痛みが額に走った。
デコピンされたのだと理解するのにそう時間はかからず、私はその場にのたうち回る。
「穴…! おでこに穴が…!」
「手加減したから大丈夫だよ」
「戦闘力53万の人の手加減は信用なりません! ちょっと医務室に、」
「大袈裟だなぁ、ほら血も出てないし平気平気」
赤くなってるだけだよ、と笑う神威さん。
そんな可愛い痛みではなかったです…! 額を擦りながら立ち上がると神威さんの手がまた伸びてきた。
白い指先が前髪をすくい取り、額があらわになった。
「アンタが騒ぐから念の為と思ったけど、大丈夫そうだ。瘤もないし」
「え?コブ5つくらい出来てませんか?」
「後 四発いっとく?」
「冗談です!冗談!地球ジョークです!」
愉しげに人差し指と親指の先をくっつける神威さんに「さ、早くお昼寝しましょう!」と話題を無理矢理逸らす。
急いで持っていた布巾を返しに行き、休憩に入ることを伝えて神威さんの元へ戻れば、元々私を探しに来たこともあってか、神威さんは団員Fさんと少し会話をしてから素直に部屋に同行してくれた。
特に会話という会話はせず、黙々と歩き部屋の中へ辿り着けば、神威さんは我先にとベッドに体を沈めた。
それに続くように靴を脱ぎ、ベッドの端に座り込んで気持ちよさそうに目を閉じている神威さんを眺める。
「人の寝顔見るなんていい趣味してるね」
動く気配のない私の手を引き、自分の腕の中に抱き寄せると大きな欠伸を漏らした。
「ふあぁ、…おやすみ」
背中に腕を回されてしまい、渋々横たわる体の力を抜く。
今日は向かい合って寝る日らしい。何度も一緒に寝ている(健全)はずなのにどうにもこの瞬間だけは慣れない。
神威さん曰く 抱き心地に特化している私を枕にすると数秒で寝付けるとのこと。既に今も頭の上から気持ちよさそうな寝息が聞こえてきている。
呼吸の度に上下する胸元へ頭を預け、重さを増していく瞼を下ろす。小さな声で「おやすみなさい」と伝えて、私も眠りについた。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時