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「はい、お水です」
「やだ」
「飲むとスッキリしますから」
「じゃあ飲ませてよ」
「どうやってですか」
「口で」
「ちょっと阿伏兎さん探してきます」
どちらですか、阿伏兎さん今どちらにいらっしゃるんですか。貴方の団長様をどうにかしてください、手に終えないです!
神威さんと一緒に来ているはずの阿伏兎さんを探すべく背を向ければ、後ろから腕をひねりあげられた。
「へぇ、阿伏兎のとこ行くんだ〜」
「行かないです!行かないです!! 神威さんのお傍にいます、永久に!」
酔いが回っているせいなのか、普段よりも力加減を知らないご様子。腕からギシギシ不穏な音が鳴っている。
これはやばい。どれくらいやばいかと言うと柳生編で沖田くんが神楽ちゃんの手を反対にへし折ったくらいにはガチでやばい。 反抗心がないことを伝えれば、フと込められていた力が弱められた。
「ね、今のもう一回言って」
「? ど、どこにも行かないです」
「その後」
「…? 永久におります?」
「おちょくってると殺しちゃうぞ」
「理不尽…!」
本当に殺る気のようでまたもや腕に痛みが走る。
お、お、思い出して!思い出して私!! 必死にさっき自分の言った言葉を頭の中で復唱する。
行かない、傍にいます、永久に、神威さん………、"神威さん"?
思い当たる言葉が一つ。
けど、次間違えたら確実に腕をへし折られる。
痛みに耐えながら辺りを見渡すも近くに助けてくれる人はいない。緊張から強張り息苦しくなる呼吸のまま、ぎこちなく神威さんの方へ顔を向ける。
「……かむい、さん…?」
自分の意志とは関係なく声が震えた。
内心ビビりまくっている私を他所に神威さんは無表情。
死んだ、さようなら私の腕…!
「もう一回」
「え…えっと、神威さん」
もう一度 今度はしっかりと名前を呼べば、一瞬にして神威さんを取り巻く空気が柔らかくなった。
「よ〜しよしよし。ちゃんと呼べてえらいえらい」
公の場で髪が乱れるまで撫で回してくる神威さんに周りから視線が集まる。すみません、この人酔ってるんです。
「…お二人さん、イチャつくなら他所でやってくれませんかね」
「阿伏兎さん…! あああ、阿伏兎ざん"ー!」
ひょっこり現れた阿伏兎さんに、何処に行ってたんですか!と詰め寄れば、便所だ便所。と、外を指差された。
「先に男子トイレ行けばよかったです…」
「いいよ、行く?」
「団長さんはお願いですからお水飲んでください」
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時