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ノックをするも応答はない。
ふと、以前阿伏兎さんから居留守を使う時があると聞いたことを思い出し、声をかけてみることにした。
「団長さーん…?」
「何?」
「うわあ!」
部屋の外から返ってきた返事にビクリと肩が跳ね上がる。
振り返れば、トレードマークのアホ毛を揺らした神威さんがそこにいた。揺れ動く毛を見ると犬や猫の尻尾が連想される。頭のてっぺんの
見た感じ機嫌は悪くなさそうだし、神威さんにとって悪い話を持ってきたわけではないのでどう切り出しても大丈夫だろうと腹を括る。
「あの、先程 阿呆提督の娘さんがお見えになられてて」
「提督の? ……それで?」
「事情がお有りのようで今回の縁談は無かった事に、と」
「ホントに? 此方から言う手間省けたね」
「阿伏兎さん、頭抱えてましたよ…」
「だろうね。まァ、これで実行に移さずに済むよ」
悪いとは思っていたようで神威さんは神威さんなりに何か考えてはいたらしい。阿伏兎さんが聞いたら泣いて喜び…、いやそれよりも、最初から一人で考えろ!このすっとこどっこい!と怒りそうだ。
「断る口実思いついてたんですか?」
「知りたい?」
「少し気になります!」
「じゃあ教えない」
いつもの数倍にっこり笑っている神威さんからは悪意しか感じない。この無意味に意地悪してくるのは、相手の反応が面白いからするのだと阿伏兎さんは言っていた。
「あはは。そんな目で見ないでよ」
「どんな目ですか?」
「こんな感じ?」
笑顔から一転。ジトー、とした呆れ目になる神威さん。
あ、可愛い。……って、違う違う!
「私、そんな顔してたんですか…!」
「うん。昔殺り合ったエイリアンにそっくりだった」
く、口が悪い…!神威さんは日頃から言葉を選ばない事が多いので、アンパン●ングミを見習ってオブラートに包んでいただきたい。
包んだらこう、凄い個性的で素敵な顔してるよ、みたいな。 ……ダメだ、神威さんから出た言葉はみな悪意しか感じない。
「阿伏兎さんのところ行ってきます…」
「ああ、阿伏兎によろしく言っといて。
じゃ、また夕食にね」
何だか どっと疲れてしまった。
伝えることは伝えたし、後は阿伏兎さんに報告して夕飯の準備時間まで部屋でゆっくりしよう…。
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おいも(プロフ) - いるあさん» ああありがとうございます…!!勿体無いお言葉に飛び跳ねてしまいました(´ω`)今なら木にも登れそうです!(∩´∀`)∩! (2019年10月12日 12時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
いるあ(プロフ) - とても面白いです、評価が少ないのが不思議なくらいです (2019年10月9日 7時) (レス) id: 12f9a783cd (このIDを非表示/違反報告)
おいも(プロフ) - あまいろさん» !!! お読みいただけただけでも嬉しいのにコメントまで…!ありがとうございます!5度見くらいしてしまいました(´ `*)続けて楽しんでもらえるよう精進します!L(´ω`)」! (2019年9月29日 18時) (レス) id: 70decc27f6 (このIDを非表示/違反報告)
あまいろ(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2019年9月29日 13時) (レス) id: 441f1e9f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいも | 作成日時:2019年4月5日 21時