ショコラ

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「ちゃんと鍵してたでしょ？」


「そだね」





夜、仕事が終わり家に帰ってくると
すぐに鍵を確認していた太輔。


納得したように頷いた後、
また私の頭にぽんっと手を置いた。






「よく出来ました」









そう、問題とはこのことだ。
完璧に立場が逆転しているということ。

君、年下だよね？
ものすごく面倒を見られてる私は何？






「太輔、ちょっと喧嘩しよう」


「···え、何言ってんの？」





手を洗い終わった太輔の腕を引いて、
リビングのソファーに座らせる。


太輔は、まだ状況を理解していないらしくて、
不思議そうに目をまん丸にしてる。







「最近、不満があるの」



「不満？いいよ、言ってみ」






随分余裕そうな笑みを浮かべ
私に向かい合うように座り直してくるから、

そんな姿に少しムカッと来ちゃって
私は思わず拳に力を込めた。






「・・・最近、私の心配しすぎじゃない？」









“夜遅いんだから、
コンビニ行くならついてくよ”




“その服、鎖骨見えてんじゃん。
だめだめ、こっちのタートルネック···って
これ身体のライン丸見えで色気でるやつじゃん”




“もうちょっとで仕事終わるから待ってて、
一緒に帰ろ。一人は危ないでしょ？”









「·····なんでそんなに心配するの？
私、そんなに頼りないかな？」



「違うよ、ただ心配なの。
危なっかしいし、何起こすか分かんないし」



「······なにそれ」



「好きだから心配になるんでしょ？
Aが大切だから、
どうにかなっちゃうのが怖いんだよ。
好きな子は守りたくなるってこと」






分かりましたか？って首を傾げた確信犯な顔。
ただ太輔を見つめることしか出来ない私に、
“好きだよ”って急に愛の言葉。






「·······でも、私なら大丈夫だよ？
ほら、一応年上なんだし


「あー、それ禁句だから」






途端にほっぺをむにゅって押しつぶされて、
どんどん近づく太輔の顔。

自然と突き出ている私の唇を見て、
ちょんっと指で触ると楽しそうに笑う。





「俺、年の差なんて感じてないから」





そっと挟んでいた手を離して、
優しくキスを落とした。

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