ショコラ

＊ ページ46

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先輩に言われた通りに
タクシーが来るのを待っていると
何やら黒光るひとつの車が目の前に止まった。


・・・あれ、タクシーじゃなくない？






そんなことを考えている時、
私は車から降りてくる男性に目を疑った。









·









「・・・北山さん？」





なんで北山さんがいるの？
私の目の前には確かに北山さんがいて、
状態を掴めない上に少しだけ
また泣きそうになっている自分がいる。






「·····お前、大丈夫か？」



「····何がですか？
別に何ともなってないですけど、
それよりどうしてここにいるんですか！？」



「え？なんか話が違ぇんだけど」






顔を歪ませる北山さん。
どこか話が入れ違っている私たち。






「さっき藤ヶ谷から電話で
Aが潰れてるから来いって···、」









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なんで、なんでそんなに優しいんだろう。

やばい、またダメになってきた。








「·····多分それ、私のせいです」



「····なに？どういうこと？」





目の前で難しい顔をする彼に、一気に愛が溢れてきて、
どうしようもないぐらい好きだなって思えてくる。





「・・・私が、北山さんに会いたかったから」





もうどうにでもなれ、って。
目をつぶると同時に
あぁ、終わったなって思いながら。






「A、顔上げて」



「·····嫌です」



「なんだよその抵抗」



「嫌って言ったら嫌です····っ、」





きっと、顔を上げた頃には
ごめんって謝られるに違いない。
・・・そんな言葉、聞きたくないんだよ。






「いいから顔上げろって、」


「····っ、」






無理やり顔を上げさせられると
いきなり後頭部を押さえつけられて、
荒々しく唇を奪われる。

顔が離れた頃には、
もう頭の中がふわふわしていて
何も考えられない。







「遅くなってごめん、
今度こそ、幸せにする。
・・・・・・・俺と付き合ってください」



「····っ、」




溢れ出した涙を見ると、
ばーかって可笑しそうに笑いながら
優しく私を包み込んだ。





「・・・A、好きだよ」





本当はずっと好きだった人。
恋愛っていうのは、
何度も遠回りをしてでも掴めない愛もある。


だからこそ、
より一層あなたのことが好きだって思えるんだ。





“俺が好きでしょ？”END.*･ﾟ .ﾟ･*.

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