ショコラ

恋って言うから愛に来た【F】 ページ15

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「太ちゃん来たよおおお！」


「またかよ」






今日も、親戚の集まりで
私は藤ヶ谷家にお邪魔する。


ここに来るのも、
一ヶ月に1回ぐらいの頻度で
もはや私ん家のようなものだ。





“Aー！ご飯食べないのー？”


“後で行くっ！！”




一番に向かったのは、
賑やかでごちそうが並んでいるリビングではなく
太ちゃんのいる、二階の部屋。





ベッドでスマホを弄る太ちゃんの横に、
思いっきりダイブするとすぐに頭を叩かれた。





「下、行かないわけ？」



「太ちゃんこそ行かないの？」



「質問を質問で返さない。
もうちょっとで行く、俺は」



「じゃあ私もその時！！」





呆れてはぁ、なんてため息をつく姿すら、
色気駄々漏れで私にとっては
ただただ好きになる要素しかない。









「なんで親戚なの·······？」


「知らねぇよ」





こんなに近くにいるのに、
簡単に触れられる距離にいるのに、
どうして私たちは親戚なんだろう。


なんで、私は高校生で
太ちゃんはキラキラの大学生なの？


何回寝ても、私は太ちゃんと他人になれない。
何回起きても、私は太ちゃんと恋人になれない。


こんなにも好きなのに、ほかの女子より
太ちゃんのこといっぱい知ってるし、
この気持ちは負けない自信だってあるのに。






「太ちゃん、彼女いるっけ········？」


「いる。見る？」


「見ない見ない見ないっ」




すぐにスマホを弄り出して
その彼女とやらを本当に見せようとしてくるから、
何度も首を振って目をつぶると
太ちゃんは楽しそうに笑った。




見たら、絶対に心が折れる。
今まで何回折れてきたんだよって話かもしれないけど
やっぱり実物を見ると、なんか、むり。








「·······美人？」


「うん」




・・・・・ほんとやだ。

敗北感しかない、絶対負けるじゃん。




こんなに胸がちっさくて、
背も低くて、太ちゃんと同じぐらいの
色気なんて持ち合わせてないし。








大人になりたい。

早く、太ちゃんに追いつきたい。

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