先輩と後輩。after story.2

18 ページ18

·






「こねこねこね。」






「ぱんっぱんっぱんっ。」






「じゅぅぅぅぅ

「うるさい。」




さっきから、私の作る
ハンバーグの工程を
いちいち横で実況してくる裕太。

しかも言葉は効果音だけ。




作り終われば




「ぱっぱらぱーん。」



なんて、別に作った訳でも無いのに
自慢げに完成効果音を歌ってる。







「どう？俺が作ったら
二度手間だって言って作らせてもらえないけど
こうしたら一緒に作った気分でしょ？」


「ちょっとだけね。」




私は監視されている気しかしなかったけど。





「いただきまーす。」




口いっぱいに詰め込んで
ただ無我夢中でもぐもぐし続ける裕太に、
作ってよかったなって思う。




「やっぱおいしい。
A絶対いい奥さんになるよ。」


「そうかな？」


「俺の奥さん修行として
これからもがんばってね。」





ちょっと偉そうだけど、
褒めてもらえたと多めに受け取っておく。




「うそうそ、もうAは
俺の完璧な彼女だよ。」




完璧だなんて、
全然そんなことないのに
やっぱり褒められると嬉しいものなんだね。








「裕太·····、」


「ん？」






「・・・いつもありがとう。」


「え·······、なに？
ちょーはずいんだけど。」





面と向かって言ってくれるのはいつも裕太からで、
本当に不安にさせてしまっているかもしれないけど
実は今私も裕太でいっぱいで、
いつか離れていかないか心配になる時が多々ある。



だから、毎日毎日想いをちゃんと伝えて、
いつかすれ違わないように、次止めるように、
私も言葉で伝えることにしてみたよ。







「どうしたの·····、慣れないんだけど、
Aからこんなこと言われんの。
もしかしてガヤさんがこうさせたの？すげぇな。」



「裕太がいつも素直に
気持ちを伝えてくれたのもだよ？」





だって、いつもいつも

“A好きだよ。”

って、






それは気持ちが向く前からずっと、
めげずに伝え続けてくれた裕太がいたから
出来たことで。

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す