先輩と後輩。after story.2

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「二人で一緒に会社に行けるってさ、
ものすごく幸せじゃない？」





堂々と会社に入っても、
人目も気にせずに二人でいれることに
裕太はすごく幸せを感じてるみたい。





「前までは気にしてばっかだったもんね。」


「ほんと、あれはキツかったわ。」




愛おしそうに私を見つめる裕太の目線は、
だんだんポケットの方に下がっていくから
不思議になって裕太の顔を覗き込むと、
急に不機嫌な顔に変わる。








「どうしたの？」


「・・・ニカから電話。
タイミング悪すぎたろこいつ。」


「そうなの？昨日のことがあったんだから
私の分もお礼しといて？てか早く出なよっ！」




“やべやべっ”って

あたふたしながら電話に出て、
先に行っといてって口パクをした裕太は
さっき来た道を戻りまた外に出て行った。






エレベーターに乗って自分のフロアを押すと、
扉が閉まる直前にこちらへ向かってくる
太輔の姿が見えて、慌ててボタンを連打する。







「ふはっ、ごめんごめん。ありがと。」


「おはようございます・・・っ」




───チン





ただぎこちないこの静まり返った密室で、
扉がしまった音だけが響き渡る。





「········あのっ

「可愛いじゃん。」




「···え？」


「今日巻いてるんだ、俺好きだわその髪型。」





くるくるってゆるふわに巻いた髪の毛を
面白そうに興味深そうに
指でいじいじしてくる。



“俺くるくる巻いてるの好きなんだよね〜”



この前、裕太がそう言ってたから
今朝巻いてみたんだけど、
まさか太輔も好きだったなんて·····、






「ふっ、じかやさんも
そのネクタイカッコイイですよ！！」


「そう？ありがと。」




何を話したらいいか分からなくて、
とりあえず話の題材を探した私は
褒め返すことしかできなかった。




「ていうか、藤ヶ谷さん
いつもオシャレですよね·····、
靴もカッコイイし一体どんなセンスで


「A、」


「はいっ·····？」




上からじっと見下ろされて、
思わず身体が固まってしまう。
っていうか、首が痛い。




「今日ランチ一緒にできる？」



「えっ、ランチですか？行けます····けど、」



「ん、じゃあそういうことで。」





タイミングよく目当ての階に着いてしまって、
笑顔で背中を押された。


もしかして、太輔も
なにか話そうとしてる········？

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