先輩と後輩。after story.2

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「・・あの、大丈夫ですかね？
一応お互いに相手がいますし、」



「大丈夫だって。
もしかして、浮気してる気にでもなってる？」



「そんなわけっ！！」







んはは、って楽しそうに笑った後
ちゃんと嫁には許可貰いましたよって
スマホの画面を見せてきた。






＞ 全然大丈夫だよー！！






「な？」



「・・・ですね」





そんでやって来たのが例の焼肉屋。
北山さんのことだから
お肉だろうなとは思っていたけど。






「そろそろ食べてもいいですかっ？」



「だめだっ。
お肉が汗かいてくるまで待つんだよっ」



「···へ？」



「ちょうど汗かいてきた頃が
一番うまいの。待て、分かったか？」






得意げに言ってくるけど
焼肉職人すぎてもはや
何言ってんのかも分かんないし。






「よし、食え！」



「えっ、あ、いただきます！！」





こんな慌ただしい食事の裏でも
ちょくちょくと顔を歪ませて
残業をしてる裕太の姿が脳裏に浮かぶから
つい、ぷって笑っちゃって。





「····んだよ、俺の顔そんなに面白いか」



「違いますよ、
思い出し笑いですー」



「ふーん、惚気か」



「え？そうなります？」






玉森だぁ、って
あからさまに口角を上げるから
違いますよとも言いづらいし。



ムカつくその緩んだ口の中に
北山さんの大好きな枝豆を放り込んであげて
とりあえず黙らせた。





「玉森のどこが好きなの？」






口いっぱいに枝豆を広げて
リスみたいにもぐもぐしながら
真顔で尋ねてくるから私も反射的に
ビールを一気に飲み干しちゃうし。


あー、くらくらしてきた。








「言葉には出来ません」



「惚気じゃんかよー」





自分勝手なところ。
全て自分中心なところ。
なのに実は一番周りを見ているところ。
びっくりするぐらい私には優しいところ。





ずっと、私を大切にしてくれるところ。





・・・・・・・それから、








「・・うん、言いきれませんね」



「何が？」





こんなのまだまだほんの一部。
もしかしたら、まだ自分でも気付いていない
違う好きなところもあるのかもしれない。





「よしっ、今日は楽しいから
もう一杯いっちゃいます！！」



「いいねいいねー、何頼む？」



「ビール！！」



「そうこなくっちゃ」





顔を上げて、
北山さんは少年のように微笑んだ。

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