こじれた愛の溶かし方。

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「藤ヶ谷のこと考えてんの？」





でも、長年付き合ってきたからには
ちゃんとそれなりのものは残っているみたい。

顔を見るだけで分かるっていうのは、
幼馴染の特権だよね、きっと。







「お前、告られただろ」




どんな風に自分を偽ってもバレてしまう。
感情ひとつひとつが丁寧に伝わってしまう。
他人には全く興味無さそうなのに、
実はものすごく気持ちを読み取ってるところ。

宏光の良い所も悪い所も、
結局どこを見たって好きになれる。






今だって、太輔に気持ちを伝えられたのに
考えれば考えるほど胸が熱くなって、
好きな気持ちだけがバカみたいに溢れる。







「···付き合えば？」



「···え？」








清々しい顔でそう告げた宏光に、
私は泣きそうになった。
軽く放たれたその一言が、
私の気持ちをぐちゃぐちゃにする。









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「藤ヶ谷、カッコイイじゃん。
Aのこと一番に見てて、優しくてさ。
ぜってー幸せにしてくれんだろ？」





なんで宏光がそんなことを言うのかが分からない。
私は、宏光が好きなんだよ？
あんなに素敵な人がいるのに
揺らがないぐらい宏光のことが好きなんだよ？









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──────・・・ずっと、
私は昔から宏光しか見えてなかったのに。






そんなに軽々しく気持ちを踏みにじられて、
私の気持ちはどこに行ったんだろう。
バカみたいに好きだった私の気持ちはどうなるの？







「···宏光、」



「···ん？」







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「·····ばか」



好きって言えたらどれだけ楽だろう。
好きの二文字もバカの二文字も全く同じなのに。



なんでこの一言のためだけに
私は悩んで苦しんでるんだろう。
太輔みたいになりたい。
ちゃんと、気持ちをぶつけてみたい。




・・・・・太輔、









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「・・・もう私の気持ち、気付いてるでしょ？」




好きだから上手く話せない。
好きだから、正直になれなくて
可愛くないことばっかり言ってしまう。




太輔にはあんなにも素直になれても
宏光を目の前にすると嘘みたいに言葉が出なくなる。








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「······好きなの？俺のこと」





暗い中でぼんやりと視線が重なった時、
私は耐えられなくなって自ら唇を重ねた。

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