こじれた愛の溶かし方。

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「宏光って福岡にいるんじゃなかったっけ？」





ランチの時間。
目の前でサンドイッチを食べている太輔に
私もメロンパンを頬張りながら尋ねた。





連絡は昔から途切れてなかったけど、
本人は“今福岡の会社にいる。”って、
確かに言ってたよ。






「あいつ、なんも俺に連絡よこさなかったぞ。
なんなら全然メールもくれないし。」


「え？私はくれたよ？」


「Aだからだろ。」





俺と全然違うじゃねぇか。って、
膨れっ面のままポッケからスマホを取り出して
宏光に電話をかけようとした。





「えっ、電話するのっ？」


「人事異動ってことは、
今東京にいるはずだろ。」


「いやっ、もしかしたら
同姓同名の他人かもしれな······



「もしもし？」



「·······」






お昼だということもあってか、
普通に電話が繋がっちゃったみたいで。






「久しぶり·······じゃなくてな、」





どんどん顔が曇っていく太輔。

それを正面から見守る私。








「あ？やっぱりか。
おう、行けるけど。分かった。」




“じゃあな”って切った瞬間、
私の方を見て、ニヤッとした。


待って、全然話の流れについていけない。
色々なことがありすぎて、
結構頭の中が渋滞してる。





·








「いたわ、東京に。」


「えぇっ？」







大きな声を出した私に
“しっ、”って人差し指を口元に当てて、
またまた悪戯に笑う。








「A、今日空いてる？」


「え？空いてる····けど、」


「北山と3人で飲むぞ。」


「········は？」






宏光は、
私が思ってる以上に、
今近くにいるらしい。

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