こじれた愛の溶かし方。

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昨日多めに仕事を終わらせたこともあって、
定時よりも少し早く
仕事を終えることができた私は、

この空間にいるのが苦しくて
定時になるまで給湯室にいることにした。





別に飲みたいわけでもないコーヒーを
ただ無心で紙コップに注ぐ。

飲んでも苦味すら感じないのは
きっとどこか片隅にいる宏光のせいだ。






「·······Aっ」




入口から聞こえた囁き声に
少し肩をビクつかせて振り向くと、
そこには何度見ても安心する太輔の笑顔があった。









「·······どうしたの？太輔もコーヒー飲む？」


「どうしたのはこっちのセリフなんですけど」






私の横までやってくると、
まじまじと私の顔を見て
ふーんって唇を尖らせてる。






「·······なに？」

「Aって俺に隠し事できるとでも思ってたんだ」








「······え？」




“バカだね”って、

結構な真顔で言われて少しだけ焦りを感じる。
私の全てを見透かされているみたいで。







「顔に書いてあるのにね、“助けて”って」






太輔ってなんなの？
なんでそんなに・・・・・、そんなに。






「もしかして全部自分で
背負いこもうなんて思ってないよな？」



「······それはっ、色々あって」



「うわ、まじだったんだ」





昨日決意したばかりなのに、
もう太輔にバレちゃったよ。

ほんと、太輔には叶わないんだね、私。






「·····あのね、




ふわっと抱きしめられると、
優しく背中をさすられて
太輔の甘い香りが私を支配する。






「A、壊れちゃいそうなんだよ。
昔からずっとひとりって思い込んで。
俺がいるじゃん、ずっと昔から」






私はこうやって太輔に包まれているだけで
安心して、落ち着いて、
泣きたくなるようなどうにもならないこの気持ちも
また自分を好きになる要因にしてくれる。

太輔は、本当に優しい。









「・・・・ばーか、気づけっての」





やけに切なげな顔で、
太輔は私の頬を引っ張った。

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