こじれた愛の溶かし方。

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宏光に会わないように、
けして目を合わせないように。

なんて結局現実逃避をしながら
出勤している私。





でも、やっぱり
宏光のことを意識しないでいられるわけがなくて、
バチッと目が合うと
また何も無かったかのように逸らされる視線に





「·······っ、」





あんなことがあったんだから
こうなるのは目に見えていたはずなのに、
その度きゅっと締め付けられるこの胸。
なんで泣きそうになってんのよバカ······



思い出せばあの頃、
中学生だった私はもう気づいていたはずだ。
この恋は報われないってことを。



いつまで経っても私の気持ちには気づいてくれないし
その分傷つくことも多かった。
だからこそあんな些細なことから
関係が崩れてしまったことが一番辛い。




一線を超えなかったなんて関係なくて、
こんなにもずっと一緒にいた私たちだからこそ
キスってものすごく影響すると思うんだ。





今日は仕事にも入り込めない。
ただただ横の存在だけが頭の中にある。
なのに、ふと宏光を見ると
真剣な顔をしてパソコンと向かい合っていて、

私だけがこんなにも考え込んでいるのが
恥ずかしいし、自分にもムカつく。

きっと宏光からしたら
あんなことほんの日常の一部なんだろうな。









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「············、」







横からすっと伸びてきた手。
顔を見なくても分かる、この手。

ノートの切れ端のような紙を私の目の前に置くと、
また宏光はパソコンを見つめ直した。








·









“今日空けといて”









昔からずっと変わっていない、
見た目からは想像も出来ないような
一文字一文字を丁寧に書かれた字。


これだけでまた
胸がぐちゃぐちゃになってしまっている私は
本当に限界寸前まで来ているのかもしれない

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