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「たいすけっ、
ごめん定時に上がれなくて!」
「大丈夫だよ、行こ」
「今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」
「お酒が美味しいところですよ。
金曜だしぱーっと行きたいでしょ?」
「うんっ!!」
·
一週間も経つと、
自然と心は軽くなっていた。
きっとそれも、
苦しくなったり泣きたくなった時に
必ず隣にいてくれた太輔のおかげだ。
毎朝泣きそうになっていたら
何も教えていないのに
いつの間にか毎日迎えに来てるし、
宏光と関わらくてはならなくなった時も、
代わりになってくれたり。
本当に、こんな素敵な人はいないって思う。
でも、こんなことを
ずっとさせるわけにはいかないし
これからも太輔だけに頼っていくなんて
通用しないって分かってるから、
少しずつ、少しずつでも
変わっていけたらなって思ってるんだよ。
「······あれっ、ない」
「ん?」
「ごめん、忘れ物しちゃったみたい······」
土日に仕事を進めようと思っていたのに、
肝心の資料が鞄の中に無いことに気が付いた。
なんで入口で気がついちゃうんだろ······、
「一緒に行く?」
「ううんっ、急いで行ってくる!」
“そ?”
心配そうに私を見つめるその目に
笑顔で微笑み返して背を向けると、
急ぐようにしてエレベーターへ向かった。
あまり待たせたくなくて、
意味もないのにボタンを連打してしまう。
·
「·······っふぅ、」
自分のデスクに辿り着いた頃には、
完全に息が上がってしまっていた。
·
「······どうした?」
「えっ、わ····っ、!」
もう私しかいないと思っていたから
いきなり聞こえた声に驚いて、
胸の前で抱き抱えていた資料を
バサバサバサ───と落とすと
隣には眉間に皺を寄せて私を見つめる宏光がいる。
「·········あっ、えっと忘れ物してっ、」
「そっか」
「······宏光は、まだ仕事してたんだ」
「まあ、」
業務連絡以外で
久しぶりに宏光と喋った。
あまりにも冷たすぎるこの空間に
いてもたってもいられなくなって
もう一度、落とした資料を拾い集める。
ほら、もう泣きそうだよ。
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あゆ(プロフ) - すごくよかったです!!先輩と後輩のパスワード教えていただくことってできますか? (2019年10月16日 14時) (レス) id: 4e0821302c (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - たちょんさん» はじめまして!いつも楽しみにしていただけているなんて、とても光栄です(*´∇`*)それなのに更新頻度が滞ってしまい申し訳ないです(´;ω;`)これからも北山さん、頑張りますので(作者はこじらせるつもりですが笑)最後まで温かく見守っていただけると嬉しいです^^ (2018年9月24日 18時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
しょーみつしょ。(プロフ) - あいさん» いえいえ(^^) 本日中に移行されるんですね! 楽しみすぎてニヤけます笑 (( そうなんですよ、ひっそり書いてました笑 タイミングよく見つけて頂いたなんて光栄です笑 これからもよろしくお願いします(*´∀`) (2018年9月24日 17時) (レス) id: f9dd1382d4 (このIDを非表示/違反報告)
たちょん(プロフ) - あいさん、はじめまして!陰ながらいつも読ませていただいておりました!私、このお話大好きで!いつも更新されていないか確認するほどで!!北山さん素直になって!!と思いながら応援しております^^笑 これからも楽しみにしているので、無理なく頑張って下さい!! (2018年9月24日 17時) (レス) id: 79ef55ee6d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - しょーみつしょ。さん» ・・・っていうか!先程見つけたんですが、しょーみつしょ。さんお話書かれてますよねっ?タイミングよく見つけてしまいました(笑)なんだか知ってる名前だなぁとは思ってたんですけど・・・(*´∇`*)笑。またそちらにもおじゃまさせていただきますね! (2018年9月24日 16時) (レス) id: dd8208cd00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2017年9月9日 10時