こじれた愛の溶かし方。

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立ち上がった太輔は、
私を見下ろしながら微笑んだ。





「······土曜日、遊園地行こっか」



「····え？」




真顔で突然そんなことを言われて、
私は何がなんだか分からない。




「····なんで遊園地？」




二人でどこかに行くのは普通のことだし
急なお誘いだって当たり前だった。
でも、太輔の一番苦手そうな場所じゃん。
しかも、このタイミングで。






「誰かさんが散々拗れてるし、
目を腫らすまで泣いたみたいだし、
元気づけてあげようかなと思いまして」




少しバカにしたように笑うと、
私のほっぺをつねって




「行かないとか言わないよな？
柄でもない遊園地の誘いを
断られるほど恥ずかしいものはないぞ」




“ふにふに〜”って
楽しそうに触れられて、
さっきまで零れそうだった涙もピタリと止まる。





「·····行く」



「素直じゃん」



「別に、久しぶりだから
楽しそうだなって思っただけだし」



「はいはい、」





コロコロ態度を変える私を見て
楽しそうに笑ってたの見逃さなかったし。






「·······何その目線」



「こらーって顔」



「全然怖くない」



「ビビってるくせに」



「ビビるわけありません。むしろ可愛いし」



「······は？」





急に距離を縮められて
私の頬に手を添えると近づく顔。





「······っ、」




さっきと発言のせいで
いつもなら普通の距離も
今は心臓が忙しいぐらいにバクバク音を立ててる。





「じょーだん」



唇が触れる直前で顔を離すと、
いきなりほっぺを挟まれた。






「·······でも、ちょっとは拒否れよ？
ほんとに危ない、」




軽くため息を吐かれて
とっさに手を合わせる。




「····ごめんっ、ちゃんと意識します！」



「意識って何」



「太輔だから大丈夫、って思ってるみたいに。
すぐに相手のことを信用しちゃうの直す！」



「は？」



「・・・あーっ、もう何でもいいや！
元気出た！ありがと！！戻るよ、もう時間ない！」




「いや、俺まだ納得してな

「早くして！！」



「ちょっ、待て待て」





なんやかんやで始まった騒がしい一日。
重苦しさも無くなって、
魔法みたいに軽い気持ちで前向きになれる。
これも全て、太輔のおかげだよ。

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