こじれた愛の溶かし方。

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「てか、お前結婚してなかったんだ。」





若干胸に刺さる言葉を
宏光は涼しい顔をして言い放った。





「·······宏光だって独身じゃんか。」


「知ってた？頑固な奴ってモテないんだってよ。」


「じゃあ宏光はモテないんだね。」


「····黙れ。」





でも、なんでこんな男を好きになったんだろう。
ずっと前から一緒にいたからって錯覚した？




・・・いや、それなら太輔のことを好きになってるか。





「お前理想高そうだし、
これから一生男できないんじゃね？」





なんで、デリカシーのないことを
普通に女子に言っちゃうのもどうかと思う。
ほんと、なんでモテるんだろう。





「・・・私、そんなに理想高くないし、」


「じゃあ言ってみろ。」


「背が高くて、お前お前って呼ばなくて、
チャラくなくて誠実で優しい人。」


「····お前、それ俺と比べてんだろ。」




コツンって、頭を叩かれる。
でも、そんなに痛くないのは
以外に宏光が優しいってこと。





「一生かぁ····、」


「じゃあ、俺と掛けしてみる？」


「でた、すぐ勝負に持ち込もうとするの。」





だから体育会系はめんどくさい。
でも実際、楽しそうに見つめてくるから
私もいいよ。って言っちゃうもので、





「····何をかけるつもりなの？」



「どっちが先に結婚するか。」



「そういうの嫌い。」



「おい、諦めんの早いだろ。」





だって、そんなかけをしてしまったら
宏光が勝つ瞬間に
私はまた失恋をすることになるってことでしょ？





「····やだ。」


「でた、お前昔から言うこと聞かなすぎだぞ。」






もげるぐらいぶんぶん頭を横に振れば、





「····っ、」


「子供か。」





両手で顔をがっちり掴まれて、
無理やり目を合わせられた。





「てか、なんでそんなに拒否んだよ。
ただのゲームみたいなもんだろ？」





宏光からしたらただの遊びだとしても、
私からしたらすごく重大なことなのに。





「はなひてっ、」


「やだ。やだやだやだ〜」


「私の真似しないでよ·······、」







なんやかんやで楽しそうに笑って
私の顔を押しつぶしてみたり、
優しくむにって横に伸ばしてみたり。






「お前、その顔ぶさいくだぞ？」


「宏光がやったんじゃんっ！！」





やっぱり、この男は嫌いだ。

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