先輩の好きなとこ。

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疲れたねって、
伸びをしながら歩く先輩。





帰り道、私は先輩の横顔を
今日見れなかった分埋め尽くすぐらい
まじまじと見つめて離さないでいた。





・・・先輩が横にいる


・・・先輩の声が聞こえるっ





いつも見ているはずの先輩なのに
今日はやけに感動するし感極まる。







「なに？今日はやけに見てくるね」



「····だって、先輩の顔見るの久しぶりだから」



「Aってさ、
遠距離恋愛とか絶対無理なタイプでしょ」




“出張とか移動とか、
もしなっちゃたらどうする？”




やけに低いトーンで言われて、
それにつられるように想像してみる。








朝起きたら、少し掠れた色っぽい先輩の声で
目が覚めていたのも、
遠距離だとスマホの機械音に変わり、

お昼、たくさん食べる私に
美味しそうに食べるA可愛いって
褒めてくれていた癒しの時間も、
遠距離になればただの大食い。

夜、おやすみっておでこにキスしてくれるのも
遠距離だと精神を安定させるために
ぬいぐるみにキスさせてるヤバい女。









·









「・・・先輩！！いますっ！？」


「うん、目の前に」





もはや、存在があるかどうかも
一分に一度は確認したくなるわ。







「ちょっとやめなきゃいけないかもね」



「····何をですか？」



「同居しよっかって話」



「・・・・え」




石がずんっと乗っかるように
いきなり身体が動かなくなった。

なのに先輩は動じずに、
しかも結構真面目なトーンでまた話し始める。








「同居して、ずっと一緒にいることが
当たり前になっちゃったら、
A少し離れるだけでも薬必要になんじゃん」






少しかがんで私の顔を覗く先輩が、
なぜだか少し遠く感じた。

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