先輩の好きなとこ。

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「······あっ、」





携帯を耳に当てながら、
窓を開けて私を探す先輩。

夜遅くて暗い分、
程よい光に照らされている先輩は
言葉が出ないほどカッコよくて、






「せんぱーーい！！！」





ウザがられるほど
全力で手をブンブン振りまくれば、









(見えてるから)




冷静なツッコミが
耳元から聞こえて、

電話を切るまもなく先輩の元へ。






「お迎えに来ましたよ、Aさん」





いちいち車から出てきて
助手席のドアを開けてくれると
乗り込んだ私を確認した先輩は
反対側から回って隣に腰を下ろした。









「楽しかった？」



「····はいっ」






私が小さく返事をすれば、
運転をしているからか前を見つめながら





“そっか、良かったね”って。





運転している横顔だって、
ハンドルを握るとともに見える腕の筋だって、
私だけのものなんだって、独占欲が生まれてくる。




だから、信号で止まった時に
隙をついて先輩のほっぺにキスをしてみた。




「·····っ、え？」




一瞬ピクっとした先輩は、
みるみるうちに顔が赤くなっていく。









「・・・・かわいい」





思わずそう口にすれば、







「調子乗んな」







ノールックで私にデコピンした後、
なぜか優しく頭を撫でてくれた。






「·······今日俺、ずっとソワソワしてたわ」



「そわそわ······？」



「そ。なんで送り出しちゃったんだろうって。
家で一人になってから、急に不安になってたわ。
とられたらどうしよって」






そんなこと考えてくれてたの？

どうしよ、愛おしすぎるよ先輩。





「俺さ、きっとAが思ってる以上に
Aのこと大好きだと思うよ」






少しちらってこっちを見て、
恥ずかしそうにまた前を向く先輩の姿に
胸がきゅぅぅって締め付けられる。






「私の方が好きですっ！」



「いや、俺だね」



「いやいや！私ですよ！？」



「それはどーも」






また信号にひかかった時、
先輩に抱きつくと
流石に危ないって怒られた。


しょうがないじゃん、
人って大好きが溢れると抱きつきたくなるんだよ。

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