先輩の好きなとこ。

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これって真面目なやつ・・・？

それとも、冗談・・・？




でも、裕太の目の前にあるものって
どう考えても私だし









「ふはっ、」



「·····え？」



「ばーか」








なんで笑ったの？
え、冗談ってこと！？





結局笑った意味も欲しいの意味も
全く教えてくれなくて、
私もその話題に触れるのに少し抵抗があった。





結局いい感じにお酒が回って
随分と時間が経った頃、
変な空気のまま解散することに。





「A、タクシー？」



「あっ、いや·····先輩が」



「ふーん」






“俺タクシーだから
来るまで付き合ってよ”って、

急に距離を縮められて、
臨機応変じゃない私はものすごく戸惑う。






「で、プレゼントくれんの？」





忘れかけてると思ってたのに
また急にぶっ込んでくる当たり
裕太は腹黒いとしか思えない。





「······えっと、」




本気で困って
言葉にするのもままらな私を見かねたように
裕太はまた口を開いた。






「Aってさ、ほんと危機感ないよね」





呆れたように見つめる裕太の顔は、
少し冷たくて困ったような表情で。





「男と二人で、お酒回ってて、
なんか言われなかったの？ガヤさんから」



「・・・言われたっ、」






心配そうな顔で
朝も夜も、念押しされていた言葉を思い出す。









「・・・なんかされるかもしれないよって、
でも裕太は意識しなくてもいいって
言ってくれたから私何にも考え───っ、






途端、包まれて香るのは
甘い甘い先輩の匂いじゃなくって、
さっぱりとした石鹸の香り。






「・・・起こしてやろうか？今から」





塞ぐように当てがった唇からは、
アルコールの匂いがして
少し頭が少しふらふらしてくる。

それでもどこかで、
キスが続けば続くほど
泣きそうになって、なんとも言えない感情になるんだ。







「·······なんで突き放さないんだよ」






ものすごく寂しそうな顔してるから。
こんな裕太の顔見たことない。
私まで胸が苦しくなるよ。







「・・・来たわ、お先」






通り過ぎていくタクシーの窓から見えた裕太の顔が
ずっと胸のどこかで突っかかってた。

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