【2j3j】誘拐先は吸血鬼の館でした【ⅱ】 (ページ6)

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命の恩人ページ6

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永遠なんて存在しない。
それを深く知ったのは5年ほど前のこと。

その頃の僕は、森の奥の小さな古民家で母親と2人で暮らしていた。喉が乾けば動物の血を吸い、読書や裁縫をしながら慎ましやかに生きていた。

そんな生活がある日変わった。トントンと家の扉を叩く音が響いたのだ。
ここの森は街からも相当離れており、寄り付く人など滅多に居ない。もし居たとして、この家に辿り着くのは更に困難なはずだった。

一体誰なのだと母と息を殺して扉を見つめる。集中の糸が張り詰める中、ゆっくりと扉が開いて＿＿＿

「……あぁ良かった！人が居たんですね！」

そこには平民のような服装をした男が居た。
男は警戒する僕らを構わず、「道に迷ったから助けてくれないか」と話し出した。

どうやら彼は猟師らしく、この森だけに生息する希少な動物を狩りに来たらしい。しかしその途中で迷い、街に戻れなくなったとか。

僕はそっと母を見つめた。母は悩むような素振りを見せていたものの、最終的には彼を助けることを選んだ。

「あの木が見えたら真っ直ぐ歩いて。そうすれば街に帰れるはずよ。」

「本当ですか！？ありがとうございます！！貴方達は命の恩人です！！」

飛び跳ねんばかりの勢いで喜ぶ男に、母は少しだけ笑った。