ラッパーのお手伝いさんはＤK【ヒプマイ】 (ページ33)

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「A、起きて！ちょっとご飯食べよう？」

目が覚めて目に入ったのはピンクの髪と綺麗な青の瞳。

「…乱数さん、ありがとうございます…」

薬を飲んで眠ったらだいぶ良くなった気がする。

「どういたしまして！いっぱい寝たねぇ。具合はどう？」

「だいぶいいです。俺、どんくらい寝てました？」

「ん～だいたい６時間？今は3時過ぎだねぇ！」

ろく、じかん…

「すみません！そんな長い時間…！」

勢いよく起きて揺れる視界
グラグラする…。

「いきなり起きたらグラってするでしょ！」
そう言って、俺を支えてくれる乱数さん。

「…Aさ、なんか悩んでることあるなら、聞くよ？アドバイスとかはできないけどね！」

乱数さんは、いつものあざとい笑顔じゃなく、控えめに笑う。

「…あの、実は」

二郎との話、本当は俺だけで解決しなきゃいけないけど、

聞いて欲しい。

．

「…そっか～。喧嘩しちゃったんだね。」

乱数さんは俺が話している間ずっと手を握っていてくれた。

「具合悪い時って思ってないこと言っちゃうよねぇ、僕もわかるな～。」

「けど、Aはどうしたいか、わかってるはずだよね？」

ニコニコしながら、俺の目をじぃっとみる乱数さん。

「…はい。謝りたい。ごめんって、ごめんねって、謝りたいです…ッ」

具合悪い時ってなんでこんなに不安定なんだろう。

「よーしよーし。泣かないの！大丈夫だよ。絶対仲直りできるって！」

ギュッと抱きしめて、背中をさすってくれる乱数さん。
俺の嗚咽と時計の音しか聞こえない事務所。

「…ね、A、イケブクロ帰ろ？僕が送ってったげる。大丈夫。Aなら、絶対仲直りできるよ。」

優しくてあったかい、乱数さんの手。

俺よりちっちゃくて、華奢だけど、俺を助けてくれたそんな優しい手。

「…ありがとうございます。帰ります、仲直り、します。」

俺の言葉を聞き逃さないように拾ってくれた。

他の誰でもない、強さも優しさも持っているんだと知った。

「うんっ！それじゃあイケブクロに～！let's go！」

今俺の隣にいる彼は、可愛くてかっこいいんだと、みんなに自慢したくなった。