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キョロキョロ辺りを見回してから、転校生1が行った方向に一気に走り出す。
私は運動神経が悪い方ではない。
むしろいいほうだ。
だが息が切れる程走り、ついた場所は、
公園、だろうか
転校生1が近づき、二言三言言葉を交わす。
気付かれないようにするため、離れたところに隠れていたのが裏目に出たのだろうか。あまり良く聞こえない。
過去語り、のように聞こえる。
過去......過去、か。
誰にだって過去はあるだろう。
私にも、ある。
過去のことを少し考えるだけで、あの光景がフラッシュバックする。
『お姉ちゃん!私、お姉ちゃんのこと、大好き!ねえ、お姉ちゃんは?』
黒髪、黒目。太陽のように笑う5歳の少女が、もう1人の少女に話しかける。
甘えるように。試すように。
灰色の髪、金の目の少女は苦笑する。
毎日毎日同じ問いを繰り返されているからだろうか。
『もちろん、お姉ちゃんも大好きだよ、***。昔も、今も、未来も、変わらずに!』
2人の周りにいる男女も、微笑ましそうに笑顔で2人を見守っている。
これは、幸せな"過去"の時間。
今はもう、誰かの記憶の中でしか生きることを許されない、悲しい家族の記憶。
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作者名:SHINE・RYEHL x他1人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2017年5月22日 20時