009-心配無用。 ページ11
五条悟 side
突然だが、僕の妹はだいぶ"イカれてる"。
今、ダイニングテーブルを挟んで僕が作った夕飯を祝福の顔で食べる年相応のAしか知らない人にあんな事を言っても誰も信じないだろう。
鎖骨あたりまであるシルクのように艶のある銀髪に緩く切り揃えられた前髪から覗く少し切れ長の透き通った蒼色の目。
その目は僕と同じで『六眼』の筈だが何かしらの原因で使えない。
これに関してAは「全く使えないって訳じゃないから大丈夫」と気丈に振舞っていたけど長袖の袖から覗く小さな拳が白くなるほど握りしめていてそれが「強がり」だとすぐに分かった。
雨が強く叩きつけた去年のあの日。
Aをこの地獄に迎え入れたあの日からずっとAは弱音を吐かずに強く振る舞う。
いつも気丈に振舞って弱い自分を絶対に誰にも見せようとはしない。
兄である僕にでさえ見せないくらいにAは自分を現在進行形で追い込み続けている。
だから数時間前にAの口から「疲れた」と聞かされた時は驚きと同時に嬉しかった。
この一年間、弱みを見せなかったAがやっと僕に弱い所を見せてくれた。この事実だけでもこの娘は少しずつ前に進んでいると実感できた。
呪術の扱い方も、呪力コントロールも確実に上達している。あと、数年もすれば僕と同じ所までくるはずだ。
……まぁ、Aは公私混同しなければただただ知識欲がえげつないからその分、吸収も早い。
そのお陰かたった一年の間で並の呪術師以上の実力をつけたった一年で一級呪術師になった。
「本当、Aの将来が楽しみだよ」
Aと肩を並べて戦う日もそう遠くない。
「A、強くなりすぎるなよ」
ポツリ口から出た言葉。
その言葉にAは驚いていたがすぐにどこか呆れ顔になった。
『……は?何言ってんの?』
少し切れ長の目を尖らして不機嫌そうに顔を歪める。
『私がこの世界に来たのは悟と同等、もしくはそれ以上の力を持って私だけの自由を手に入れる為。誰にも文句を言わせない程の力を手に入れる為。』
『その為だったらどんな理不尽とも戦うし挑まれた戦いは全て勝ち抜く。』
『そうじゃなかったらこんな地獄に自分から入らない』
『だから心配しなくても大丈夫。』
だって、私は"最強"の妹だもん。強いに決まってる。
そう力強く言い放ったAは不敵に笑った。
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檸檬(プロフ) - プスメラウィッチさん» 返信凄く遅くなってすみません!!コメントありがとうございます!!オチはまだ未定ですが参考にさせて頂きます。亀更新ですがよろしくお願いいたします(*¨*) (2021年5月20日 5時) (レス) id: f9b214269c (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 檸檬さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月15日 11時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:檸檬 | 作成日時:2020年12月8日 7時