_____6話_____ ページ8
「盗った物は?」
「一応、少しの物資と金だけ。あれは別館やったみたいやな」
「了解」
2人の盗賊が、街の路地裏で囁きあう。
街は賑わっていて、2人の盗賊がそこで作戦会議をしていることも、そこにいることも分からないようだ。
「呑気なもんやな」なんて1人が呆れたように呟く。黒い和服が似合う2人。まるで生まれつきその服を着ていたようだった。
所々跳ねた金髪、空色の瞳で街の方を睨みつけるのはコネシマ。盗賊団【鬼神】で狂犬チワワと謳われる男だ。
揃えた黒髪の前髪を弄り、桃色の瞳を爛々と輝かせるのはロボロ。同じく盗賊団【鬼神】で情報収集を得意とする男。
2人は特攻が得意ということもあり、昨夜【月の都】の別館を襲撃した。大した功績は得られなかったが、物資が手に入っただけでもラッキーだった。
「首領は、なんて?」
「『撤退』って2文字だけ。ほんと人使い荒くて困るわ」
わざとらしく溜息を吐くコネシマも、本気で首領に嫌悪感を抱いているわけでは無さそうだった。寧ろ忠犬、懐いている。
「もしもさ、"不死の薬"が手に入ったらどうする?」
「なんやなんや、急に。まぁでも俺は飲みたくないわぁ。だって、死なないって辛いやん?」
「せやなぁ」
闇の路地裏を並んで歩きながら2人は喋る。
鬼も勿論死ぬ。身体は丈夫で人間より長生きするということだけ。【月の都】の人間と同じ。
「首領は……グルッペンは"不死の薬"なんか手に入れてどないするんやろなぁ」
コネシマの呟きも何処かの誰かには届かず、その誰かも口角を吊り上げ嗤っていた。
トントンが鬱とシャオをこっぴどく叱ってた。
そんなに怒らなくてもいいじゃん。とは言えなかった。言おうとしたら「姫様は関係無いです」だって。ほっぺを膨らませたけど無視された。
人と人はヒョウドウに接してあげなさいってトントン言ってたじゃん。
あれ?ビョウロウだっけ?
「ねぇエーミール。ビョウロウに接するって何?」
「ふふ、姫様。ビョウロウじゃなくて平等、皆同じように、という意味ですよ」
あ、そうだ平等だ。また1つ勉強になったな、多分すぐ忘れちゃうけど。
「何かお考えかと思ったら、それを考えていたのですか?」
「ううん、違うよ。それもだけど、トントンって鬱とシャオには厳しく叱るのに、私には叱らないの」
「……?何かご不満なのですか?」
エーミールの目が私の表情を窺う。エーミールの目は好き。透き通るような瞳は綺麗だから。
152人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あみーごー(プロフ) - 美桜さん» 更新遅れてしまってすみません……。出来るだけ沢山の方々に楽しんでもらえるよう頑張ります! (2017年3月25日 20時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - グフッ(゜Д゜)続きが…気になる!更新期待しております!頑張ってください笑 (2017年3月25日 13時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - ゆうさん» 楽しんで頂けて何よりです!ありがとうございます……!頑張りますね! (2017年3月8日 9時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - だんだん面白くなっていく...!!一つ一つのお話が本当に面白くて次どうなるんだ?!って楽しみになります..笑 更新頑張ってください!陰ながら応援しています!! (2017年3月7日 17時) (レス) id: d1fdd0c861 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - 蘭菊さん» 遅れてしまって申し訳ありません……。頑張って1日1更新目指します!ありがとうございます! (2017年3月4日 7時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あみーごー | 作成日時:2017年1月28日 7時