_____28話_____ ページ31
「恐いか?」
不意に声をかけられ、ぼうっとしていた頭を揺り起こし、質問に耳を傾ける。うつむいていた顔も上げ、できる限りの笑顔を向けた。
「……少し、緊張しているだけです。大丈夫です」
「……そうか。無理はするな」
低い軍曹の声に寝ぼけていた頭が冴え、気合いを入れ直そうと深呼吸をゆっくり繰り返す。
目の前には、俺達を呑み込まんばかりに聳え、【鬼神】の拠点があるとされる山の入口付近に待機していた。
指揮官の命令が無ければ動けないため、【鬼神】に万が一見つからないよう息を潜めていた。
もうすぐ作戦の指示が出る時刻だろう。何の物音も、風の音さえ聞こえない、沈黙の中、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
「全軍___出撃開始!!」
兵士達の怒号と掛け声が響き渡る。
俺は耳を塞ごうとも苦虫を噛み潰したような顔をしようともせず、ただじっと前を見据え、睨んだ。
理性を失ってはいけない。
軍曹からの教えだ。
理性を失えば、自分がコントロールが出来なくなり、破滅を迎える、と。
トントン、お前にはそれが難しい、と。
難しくても、不可能でも、やってやろうじゃないか。
思わず口角が吊り上がり、不安な気持ちも忘れ自分が愉快そうに笑っているのに気付き、口元を手で隠した。
物凄い数の鬼が兵士に向かって行っては切りつけられ、殺されていく。
それは仲間も同じで、何故それが分かるのかはつい先程まで隣に居た味方が胴体を真っ二つにされているのを見たからだということ。
頭は何処か冷静で、理性を保つなどという簡単な教えも忘れようとしていた。
「……何、この音?」
「あぁ、あれはね、戦争の合図と君達の味方」
味方、という希望を持てる単語なんぞに興味を持たないAは、格子に掴みかかって目の前の男に問いかける。
「……!戦争!?どういうこと、なんで私の味方と君達が___」
「簡単なことだよお姫様。君の味方が君を助けに来た、それだけ」
「……じゃあ君も戦争に行くの?」
「当たり前じゃん。他に誰が行くってのさ」
そう言うと鬼の仮面を被った男は早歩きで去っていった。1人取り残されたAは、味方の無事のため手を合わせて祈った。
***
またまた更新遅れそうです……。
気長にお待ち下さい。
重ね重ね申し訳ありません。
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あみーごー(プロフ) - 美桜さん» 更新遅れてしまってすみません……。出来るだけ沢山の方々に楽しんでもらえるよう頑張ります！ (2017年3月25日 20時) (
レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - ｸﾞﾌｯ(゜Д゜)続きが…気になる！更新期待しております！頑張ってください笑 (2017年3月25日 13時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - ゆうさん» 楽しんで頂けて何よりです！ありがとうございます……！頑張りますね！ (2017年3月8日 9時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - だんだん面白くなっていく...！！一つ一つのお話が本当に面白くて次どうなるんだ？！って楽しみになります..笑 更新頑張ってください！陰ながら応援しています！！ (2017年3月7日 17時) (レス) id: d1fdd0c861 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - 蘭菊さん» 遅れてしまって申し訳ありません……。頑張って1日1更新目指します！ありがとうございます！ (2017年3月4日 7時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あみーごー | 作成日時：2017年1月28日 7時
