_____12話_____ ページ14
___同時刻、【鬼神】拠点にて。
「オスマンが見た感じ、誰が1番強そうやった?」
「やっぱあの赤い目の奴かな。ゾムか首領しか相手できんなあいつは」
コネシマの問いに、オスマンは顔を顰めて答える。コネシマが咥えている魚の匂いが部屋に広がっていく。
オスマンは文句を言いたい代わりに溜息を吐き目を伏せた。攻めるというのがこんなにも難しいとは。相手の方が遥かに人数も多い。なら、此方も切り札を使わなければ勝てないだろう、そう考える。
姫を守る従者の中で恐らく1番強いのは赤い目の男。あとは狐の面と月読命が邪魔をしなければ何とか押さえられるだろうか。
___そして、屋敷に侵入しふと思った疑問。丁度、ゾムが退却したと同時の赤目の男の行動。
「なぁ、シッマ」
「んあ?なんや?」
「もしかしたら、面白い事が起こるかもしれん」
面白いこと、と聞いて黙っていないのがコネシマだ。小型犬の如く身を乗り出してオスマンと視線を合わせる。目は口ほどにものを言うとはまさにこのこと。
目で「面白いことってなんや」と語っているようで、オスマンは思わず口角を吊り上げる。否、笑っている原因はそれだけでは無かった。
「まだそうと決まったわけやないし、あくまで俺の予想や。それに首領にもこの作戦を伝えてみんと分から」
「ほう?面白いこととは一体なんだオスマン。今ここで伝えてくれて構わんゾ」
2人よりずっと低い声が部屋に響く。コネシマの咥えている魚の匂いが尻尾を巻いて逃げ出すかのように匂わなくなった。
コネシマは掠れた声をゆっくりと発し、冷や汗に頬を伝わせながら手を軽く挙げてその人物に挨拶をする。
「……どしたん急に、グル氏」
「暇だったからな。気分転換だ」
心底楽しそうに【鬼神】の首領である男___グルッペン・フューラーは笑った。
その笑顔の奥に何が隠されているかは、随分と昔からいるオスマンも分からない。
彼の紅い瞳は鮮やかな血の色。まるで生き血をそのまま透明なワイングラスに注いだような鮮やかさだ。
その瞳が2人の姿を捉える。オスマンが喉を鳴らす音が聞こえたのはその場が沈黙に包まれたことを意味する。
「……ま、ええけど。オスマン、話してや」
その沈黙を破ったのはコネシマ。声が震えていたのは、オスマンにも分かった。
首領が、気分転換だと言って部下の目の前に姿を現すことは今まで無かった。鬼畜とも呼ばれた首領が、にこにこしながら。
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あみーごー(プロフ) - 美桜さん» 更新遅れてしまってすみません……。出来るだけ沢山の方々に楽しんでもらえるよう頑張ります! (2017年3月25日 20時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - グフッ(゜Д゜)続きが…気になる!更新期待しております!頑張ってください笑 (2017年3月25日 13時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - ゆうさん» 楽しんで頂けて何よりです!ありがとうございます……!頑張りますね! (2017年3月8日 9時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - だんだん面白くなっていく...!!一つ一つのお話が本当に面白くて次どうなるんだ?!って楽しみになります..笑 更新頑張ってください!陰ながら応援しています!! (2017年3月7日 17時) (レス) id: d1fdd0c861 (このIDを非表示/違反報告)
あみーごー(プロフ) - 蘭菊さん» 遅れてしまって申し訳ありません……。頑張って1日1更新目指します!ありがとうございます! (2017年3月4日 7時) (レス) id: c9fce9eca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あみーごー | 作成日時:2017年1月28日 7時