小さな石 ページ31
覚えてるわ、とても鮮明に。
手を伸ばしたって到底届かない所にいる、
きらきらと光っている集団。
真里亜だって、勿論美琴だってそうだった。
小学生の頃から繋がってきたあなた達には、
他所者が入る隙間なんて微塵もなくて
しっかりと絆があった。
別に悪いことではないと分かっていた。
どうしようもない事だと分かっていた。
でも疎外感は自信もプライドも砕いた。
翔くんから受け取った大切な想いを、
あなた達の絆が私を砕いていたの、毎日。
「俺の仲間とAの両方が大切だったから
同じように大切にしたつもりだった。
なのに、Aは仲間に馴染まなくてさ、
集まりにも来なくなって笑わなくなって、
どうしていいか分からなくなったんだ。
俺自身が迷い始めちゃったら、
尚更Aはどうしようもないよな。
当時は、察することもできなかった」
足元の、ほんの小さな石を翔くんが蹴った。
飛んで行った先、目で追っても見えなくて。
「選ばなかったから、失う。
手を離したから、失う。
追いかけないから、遠くなる。
当たり前の結果だった、自業自得」
笑うようなため息、白く漂う。
まとまりがなくてごめんって、また。
「とんでもなく時間が経っちゃったよな、
でも俺、しつこいらしくてさ。
Aのこと、全然諦められないんだ。
って言うか、諦めるって選択肢がないんだ。
離れていた間もずっとAが胸の中にいて、
何にもできなかったくせに諦めないとか、
支離滅裂で潔くなくて、だっさいんだけど
嘘偽りなくこれが本当なんだ、ごめんな」
優しい穏やかな口調。
遠くの空に話しかけるような柔らかさ。
翔くん、こんな大人になったのね。
選ばれなかったこと、辛かったけど
私のこと切り捨てた訳じゃなかったのね。
あの頃の私、嫌われてはいなかったのね。
それなら、よかった。
「謝って欲しいことなんて一つもないの。
でも翔くんがそういう気持ちだったこと、
今、ちゃんと分かった、大丈夫よ。
話してもらえて良かったわ、ありがとう」
やだ、泣いてしまう。
悲しくも、嬉しくもないのにね。
ただ、ほっとしただけ。
私、ちゃんと好かれていたんだって思うと
報われた気持ちになれる。
「ありがとう、翔くん」
もう一度、心から伝える。
涙声には、ならなかったはず。
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おはな(プロフ) - ともさん» 彼の変化に戸惑わせてしまったようで、申し訳ありませんでした。その理由を彼の言葉の中に含めたつもりでしたが、やはり力不足でした。努力しようと思います。ご指摘頂きありがとうございました。 (2021年4月3日 18時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 急に紳士な翔くんにちょっと驚きが隠せてないですが（笑）昔話を楽しんでいる2人がとても心地いいです。 (2021年3月28日 9時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - たまりんさん» たまりんさん、お返事が遅くなってしまってすみませんでした。年月を経ても想い続けた二人の一途さ、もう一息で願いが叶うところまできました。ホッとしています。辛い時間が長かったですよね。純粋だとシンプルになって飾らない言葉が嬉しい。伝わって良かったです。 (2021年3月27日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - ていくさん» ていくさん、まずは、お返事が遅くなってすみませんでした。この更新分では、彼がひたむきに語ってくれたので私的にはほっとしたところです。時間は要しましたが、饒舌な言い訳と圧倒的な言葉不足、陥り易い間違いに気付けて良かった。この後もお越し下さると嬉しいです (2021年3月27日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
たまりん(プロフ) - おはなさん更新お疲れ様です。やっと、やっと翔くんと通じ合えた。気持ちではあの頃と同じ様に2人は想いあっていたけど、若さゆえなのでしょうか。どこかでやり直しがきくと思っていたのでしょうか。大人になった今だからこそ飾らない言葉が相手に届くと思いました。 (2021年3月20日 7時) (レス) id: 73cb3c7af7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2021年2月7日 0時
