偶然�� ページ12
「いきなり喧嘩腰って酷いな。
俺のメンタル、そこまで強くないよ。
せっかくの偶然に感謝しようよ、ね？」
余り身長の高くない私に合わせて
ぐっと屈んで視線が絡む。
少し首を傾げて甘い笑顔を見せられたら
冷たい対応なんてできなくなりそうで
それも気に入らなくて素っ気なく言い放つ。
「別に感謝はしないけど」
「じゃあ、感謝なんてしなくていいから
A、飯、つきあってくれない？
俺、すっごい腹減ってるんだよね。
野郎一人ってのも寂しいからさ」
そう言うと、私のバッグをさっと取り上げ
結構重いじゃんって右手に持ち直している。
「へえ、お高いブランド物使うなんて
意外だけどAも大人になったんだな」
大きなお世話だって言ってやりたかったけど
強引な翔くんに戸惑って言葉が出なかった。
不機嫌さを伝えるには良い沈黙になったと
自分に苦しい言い訳をする。
「俺にしては、今日は早く帰れたんだよね。
俺は暦通りに休みだけど、明日は仕事ある？
Aの仕事って土日も関係ないんだろ？」
だったら何なのって思う。
私の顔には、そう書いてあるだろう。
「明日の土曜は、午後から囲碁教室だけ。
でも、ちょっと大きなトーナメントに向けて
対策を練るから今は、休んでいられない。」
そっか、大変だなって適当に返事をされて
何だか気に入らない。
６年ぶりの会話は、微妙に噛み合わなくて
離れていた時間を感じさせる。
あの頃の私たち、何を話していたんだっけ？
「俺の会社さ、この辺じゃないんだけど、
取引先がいくつかあるからよく来るんだ。
Aの仕事関係もこの辺？」
「うん、連盟の事務所があるから良く来るの。
結局、週に一度は来てるかもしれない。
それに小さい頃から祖父や父に連れられて、
研修会場の隅っこで遊んでいたりしてたし、
私の中学、高校も近いしね。
大学があった街よりずっと馴染んでるかな」
あ、こんな話、つまらないわね、きっと。
それに大学時代を軽んじた発言だったかも。
反省しつつ、言葉を切って黙って歩く。
不意に両手が塞がっている翔くんの肘が
軽くぶつかって、見上げたら微笑んでいた。
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おはな(プロフ) - mayuさん» mayuさん、楽しみと言って頂けることに安堵しました。そうですよね、素っ気なく離れて行った彼、また近づいてきた彼の真意を書かなくては。時間がかかってしまいそうですけど、またmayuさんに来て頂けるようがんばりますね。 (2021年2月2日 20時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - さる子さん» さる子さん、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです。テンポよく更新できていた頃の感覚がなくて、愚痴の様なコメントを残してしまいました。彼の真意に辿りつくまで、しっかり書いていきますね。ありがとうございました。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - たまりんさん» たまりんさん、少しペースは落ちているところ、コメントを頂きありがとうございます。彼の行動の一つ一つに意味があり狙いがあり、気持ちがあるのはもちろんです。それを何とかお話に乗せられるよう頑張りますね。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - おはなさんの書くお話、言葉も、繊細な心の動きも丁寧に書かれていて、面白いです。翔くんは一体どうしたいのか続きが楽しみです！ (2021年1月31日 9時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
さる子(プロフ) - ぜんぜん！がっかりなんて！楽しみにお待ちしておりました。おはなさんのペースで更新してけだされば。彼の真意を想像しながらまっていますので。更新に感謝です。 (2021年1月31日 2時) (レス) id: eb4a575f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2020年12月25日 23時
