困る ページ31
しばらくして、送別会はお開きとなり
元々二次会は丁重にお断りしていたので
そのまま流れるように解散していく。
入れ替わり立ち替わり、ご挨拶を戴いて
何人かはハグもして、少し泣いてしまった。
個人的な送別のプレゼントをもらって
可愛らしい紙袋を幾つも抱えていると、
気の効く後輩が一段と大きな紙袋をくれて
その中に全てを収めた。
「美枝さん、昇進おめでとうございます。
人事でのご活躍を期待してますから！」
デキる後輩は、何人もいる。
彼女達には、どんどん追い越してもらって
私より上に立ってもらって全然構わない。
「早く追いかけて来てね。
追い越しちゃって良いんだからね！」
「もちろん全力で追いかけますからね！
美枝さん、ずっと目標でいてください！」
酔いも手伝って、大袈裟に抱き合って
やっぱり泣いてしまう。
「泣き過ぎだ、ばか。
もういい加減、帰るぞ」
いつの間にか背後にいた櫻井くんに
肩を叩かれた。
私を見て少し笑って、手を差し出した。
「ん？」
「荷物。持ち切れねえだろうが」
「あ、そうね、ありがとう」
私は、薔薇の花束だけを持って
他の荷物を全て預ける。
この人の、こういう優しさが困るのよ。
嬉しくなってしまう自分にも困るし。
私から荷物を受け取った櫻井くんは、
残っていた人たちに適当な挨拶をして
ずんずんと歩き出した。
ちょっと早くて置いて行かれそうで
小走りになって追いかける。
「待ってよ、もう、勝手なんだから」
「ああ、足の長さの違いだな。すまん」
悪いなんて全く思っていない涼しい顔、
一段とカッコ良くて、すごく困る。
「酔い覚ましに、少し歩こうぜ。
美枝、顔赤いし、結構飲んでるだろ。
それとも散歩の相手が俺じゃ嫌か？」
優しく顔を覗き込まれる不意打ちに
心臓が飛び跳ねた。
息が止まっちゃうじゃないの。
「嫌じゃないわ、喜んでお付き合いします。
いいじゃない、夜のお散歩」
「では、姫、参りましょう」
ふざけた笑顔が眩しい。
好きだって繰り返し思ってしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 729人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おはな(プロフ) - mikkyさん» 課長も頑張ってくれていたはずです。お待たせ過ぎた感は否めませんが、どうか聞いてあげてくださいませ。次の章で長々説明してくれています。mikkyさんのお気持ちが晴れるよう、私も頑張って妄想を突っ走らせます。あちらでお待ちしております。 (2020年8月16日 23時) (
レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - にゃんちきさん» 一旦CM制度、頂きました、ありがとうございます。尽きぬ諸問題をかたづけた課長の言葉、お待たせしました。新章で語って頂こうと思います。お待たせしました、どうぞお越しくださいませ。ごひいきに (2020年8月16日 23時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
おはな(プロフ) - さる子さん» 謎解きは、新章でご確認くださいませ。猛暑にへとへとですが、彼らの夏の曲に励まされています。良い曲がいくつもありますよね。コンサートで聴きたかったなと残念な気持ち、正直、ありますね。でも今日も明日も彼らを信じていきます。コメントありがとうございました。 (2020年8月16日 22時) (レス) id: 4a84da09b3 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 更新ありがとうございます^ ^やっと。やっと全て聞けるのですね...！待ってはいましたがいざとなると気持ちが揺らぎます。唯一、勇気をくれるのは素敵な薔薇の花束。良い意味が込められてると思い、お話を聞こうと思います。次回の更新も待ってます^ ^ (2020年8月14日 12時) (レス) id: 27e731af2f (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちき(プロフ) - やっと向き合えるんですね。彼のいろんな事情も分かってきて腑に落ちたけど、後は核心を！ってところで一旦CM制度が発令されたようなので大人しく待っております(*´-`) (2020年8月14日 6時) (レス) id: 64ed16a329 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おはな
| 作成日時：2020年7月11日 0時
