対象外の通告 ページ15
病院に着くと、２２時を過ぎている。
廊下に響く靴音が、確かに不気味。
ありがとう、今井くん。
カードを通して医局に入ると、
櫻井先生が歩いて向かってくる。
今日も私服が素敵。
カーキのＶネックＴシャツに紺のカーゴパンツ。
ジャケットを羽織って。
トートバックにたくさんの資料が見える。
私達に気付いて
「随分遅いな。ん、飲んでるな、君たち。
また二人ってデートか。
でもデートなら病院に戻ってくるっておかしいな。
あはは。」
「そうですよ、
Aの忘れ物を取りにくるのに
付き合わされただけですって。」
思わず
「ごめんね。」
って、見上げて謝る。
本当、おっちょこちょい。
「A先生、しっかりしてるのに。
そういうとこ、あるんだな。意外。
発見だわ。あはは。」
って、櫻井先生に笑われた。
「ちゃんと送ってもらえよ。」
言いながら、行ってしまった。
ああ、やっぱり眼中にないんだ、私のこと。
私に向ける笑顔と今井くんに向ける笑顔、
全く変わらない。
対象外ってこと。
ときめきとは違う、冷たい感覚が指先に走る。
痺れたように。
同時に心が勝手に動き始める。
深い濁流。
呑み込まれる。
今井くんと病院を出て、すぐに別れた。
一人になりたかった。
ううん、一人にならなければ
いられなかった。
実家に向かう一人のタクシーで、
声を出さずに泣く。
涙に溺れるなんて、
まっぴらだと思っているのに。
呑み込まれる弱い私は、掴まる物を求めて
何とか腕を伸ばしている。
何も掴めないままで。
ここで頑張らないと。
ここで挫けたら、何も始まらない。
決心しても、涙でスタートラインは、
見えなくなったまま。
混乱してばかり。
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智美(プロフ) - 最初の方のページはほとんど(私の姓)や(私の名)というふうになっていて読みにくいです。修正お願いしますm(_ _)mm(_ _)m (2019年2月10日 14時) (
レス) id: b9bab58b14 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり(プロフ) - ところどころお名前が唯になっています(;o;) (2017年7月3日 11時) (レス) id: 30427f3e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おはな
| 作成日時：2016年6月7日 14時
