蜜蜂と花《青》 (ページ17)

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彼女の後ろを黙って着いていく

スタイルが抜群にいい

おまけに顔だって普通に可愛い

ボブヘアも似合っているし

誰もが憧れるような容姿をしている

ただ────

川｢あのさ｣

連れてこられたそこは、階段の踊り場

立ち止まって私に向き直り、すごい剣幕で私を見てきた

川｢なんで昨日、あんたと藤井くんがいっしょにおるん？｣

腕組みをし、壁に寄りかかりながら背の高い彼女は私を見下ろすようにして、低い声でそう言った

川｢ほんまはデートするはずやったんに…｣

彼女は、この間私と大毅が目にした

あの濃厚なキスを藤井くんと繰り広げていた女だ

そうか、あんちゃんの次は彼女なのか

川｢あんた、藤井くんのなんなの？｣

藤井くんの、なに？

言っていることがさらさら理解できない

黙って何も答えないでいる私に痺れを切らしたのか

川｢なんとか言いなさいよ！｣

声を荒らげて掴みかかってきた

壁に叩きつけられ、肩をｷﾞﾘｷﾞﾘと掴まれる

爪が食い込んで痛い

そんな彼女を、私は自分の持つ精一杯の力で押し退けた

一瞬蹌踉けるが、直ぐに体制を立て直し、こちらをギロりと睨んでくる

『別に私は藤井くんとは何もないで』

落ち着いて、そう言う

決して取り乱さず、冷静を装う

川｢その余裕そうなのがムカつくねん｣

牙をむき出しにする彼女に向かって、私は爆弾であるだろう言葉を投げかけた

『なら逆に聞くけど』

はぁ、と溜息をつき

『あんたは藤井くんのなんのつもりなん？』

貴方は、藤井くんの彼女のつもりなの？

それとも何か？

他の女と同様、私は特別だなんて思っているのか？

川｢…はっ？｣

『ええ加減さ、気付いたらどうなん？』

彼女が１年の頃から藤井くんに好意を抱いているのは知っていた

『あいつは、本気の恋をせえへん』