蜜蜂と花《青》 (ページ15)

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藤井流星は意外と

頭は良かった

『なんや、全然解けるんやね』

正直驚いた

こんなこと言うと失礼に当たるけれど、馬鹿だとばかり思っていた

藤｢数学は得意な方やねん｣

親指を立ててくる

なら何故私に勉強教えてなんて言ったんだろう

その謎が

次の教科で解明された

『いや、やからなんでここに関係代名詞くるん？』

この人は、英語が苦手のようだ

先程からうーうー唸りながら問題を解いている

子供かよって一人でツッコミながら、私も合わせて問題を解く

やがて疲れたのかシャーペンを置いて

藤｢もーむり｣

机に突っ伏してしまった

私はそんなことはお構い無しにカリカリと問題を解き進めていく

２年生最初のテスト

失敗できない

藤｢なー｣

猫のようなのんびりとした声をあげる

『なに？』

彼の目も見ずに言う

藤｢２限目終わってからさ、休み時間に話してたん、あれだれ？｣

『え？』

唐突にそんなことを聞かれるものだから、思わず手が止まってしまった

『あー、あんちゃんのこと？』

貴方は釣った子のこと覚えてないの？

藤｢ちゃう、男｣

男

男って

『大毅？』

藤｢うん、名前は知らんけどだれ？Aの友達？｣

いつの間にか呼び捨てになっていることにいちいち突っ込むのは面倒くさいから、何も言わずにおこう

『幼馴染みだよ』

私がそう言うとふーんと言って机に横になった状態でペンをくるくると回す

『ていうか、なんで手紙で渡したん？
直接言いに来ればよかったのに』

私と大毅が話していたのを知っていたということは、教室の前から見ていたということになる

ならばわざわざ紙に書かなくても直接言えばよかったのに

藤｢やって、楽しそうやったから｣

彼なりの心配り

そう思うことにしよう

藤｢Aって、勉強する時眼鏡するん？｣

突然話題を変えてきた

『まぁね、目がええ方ではないから見えにくい時とか勉強する時は基本眼鏡やな』

私の返しにこれまたふーんと言って

藤｢可愛ええ｣

なんて上目遣いで優しく呟いてくる

なるほどね

こうやって女の子を騙しているのか

『それはどーも』

取り敢えず笑顔を作って返す

そんな私に、彼は少し頬を膨らませ

藤｢なんか素っ気な～｣

と一言

きっと他の女はこの言葉に頬を赤らめ照れてしまうのだろう

私は絶対に騙されない

こんな言葉、誰にでも言ってるんだから