実績 ページ6
私の話を聞き終えた坂田さんの呆れた様子が、鏡ごしに伝わってきた。
切った毛束が床に舞い落ちる。本当はなるべく
多くの髪の毛達を頭皮に残してあげたい。
それができないと悟った時、美容師である自分を
恨むのだ。
「そりゃ相手の奴も災難だったな」
まあ確かに、興奮して公開告白みたいに
なってしまったことは謝りたいけども。
「だって・・!理想そのものだったんです!
艶やかでまっすぐで風に揺れるフォルムも美しい!
色素が薄くて、触ると柔らかそうだったぁ・・」
「まさかお前の理想の持ち主が男たァな」
「男も女もありません。髪は平等に愛されて然るべきものですから」
ただ、体質的に男性の髪の方がしっかり硬い傾向に
あるだけだ。健康な黒髪もまた良い
「坂田さんだって、目の前で理想の胸が
揺れていたら思わず鷲掴んで顔を埋めるでしょ?」
「バカヤロー、お前と一緒にすんな。俺ァ冷静に
揺れるサマを見守る」
「ガン見するんですね」
ならば揺れる髪を眺める私の方が健全だろう。
「で?お前はその男を捜すつもりかよ」
「そりゃあ捜したいですけど、私にそんな探偵じみたスキルはありませんよ。せいぜいシャンプーの匂いを嗅ぎ分けられる程度で」
「気色悪ィ特技だな」
ただ、目に焼き付いているあの素晴らしき髪は
もう一度会えば、見間違うはずがない。
「・・お前金もってんだっけ?」
「突然なんです?まあ衣食住には困ってませんが」
「よし決まりだな。ーーその髪の持ち主捜し、
俺に任せてみねェか?」
「・・・へ?」
びっくりして鏡ごしに彼をみれば、
不気味なほど黒い顔で笑っていた。
やはりこの天パは、彼の腹黒さが髪の毛を
ねじり殺そうとしているせいらしい。
なるほど根本的な問題か。
どうりでよくならないはずだ。
「・・・探偵さんだったんですか?」
「ちょっとちげーな」
万事屋だと名乗った坂田さんは得意げだが、
聞いたこともないお店だしなぁ。
「知り合い割ってことで、料金は負けとくぜ」
「それ、本当に見つかるんですか・・?」
「こちとら信用に値する実績があるからな。猫の
みーちゃんも犬のコロ助も一日で見つけ出した」
「・・・あれ、もしや勘違いしてますか
私が捜してるのは人間なんですが」
「人間もペットも大して変わんねーよ」
いや、変わりますね。
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シュシュ☆☆(プロフ) - 中村さん» 中村さま!お久しぶりです!タイミングを見つけてのんびりやっていこうと思ってます!お互いのんびり楽しみましょうー!ありがとうございます! (2023年1月11日 0時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» いつもありがとうございます!仕事の合間に更新できるタイミングでのんびりやっていくのでたまに遊びに来てくださいませ! (2023年1月11日 0時) (レス) id: e568b5485d (このIDを非表示/違反報告)
中村(プロフ) - 久しぶりにツクを開いたらシュシュさんの更新があってテンションが爆上げになってしまいました(笑)この2023年にまったり同じ界隈に浸っていられることがとても嬉しいです〜!ぜひぜひシュシュさんのペースで楽しんでください!今後とも応援しています! (2023年1月8日 23時) (レス) @page12 id: e4443ffe23 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 新作おめでとうございます!! またまた、私のタイプの夢主ちゃんが…好きです!! もうシュシュさんの作品の夢主ちゃんたちがドストライク過ぎて、毎回毎回楽しみです!! 更新頑張ってください!! (2019年8月25日 18時) (レス) id: 6053f0b386 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月25日 15時