【銀魂】カ ミ サ マ

面倒回避 ページ17

ー総悟サイドー


「ーーーなんだ？」


取調室がやけに騒がしい。
今追っている案件がほぼお手上げ状態だと苛立っていた土方だったが、ようやっとこさ参考人を連れてこられたのかもしれない。

取り調べっつーのは、一対一で相手を追い詰めていく
唯一俺の大好きな仕事なのだが、先ほど兎を相手に
したせいで体力も限界である。せめてちらっと覗いてやろうと扉を開ければ。





「だーかーらぁ！私は美容師なんです！！
悩める髪の毛たちのキューティクルを守る救世主！
アンダースタンド！？」

「ノーアンダースタンド。・・いい加減にしろよ。
んなこと聞いてねーんだよ」

「レッツアンダースタンドォオオ！！！」



取調室と隣接している部屋からマジックミラーで
確認できたのは、ーー見覚えのある猿だった。

まさかあいつ何かやらかしたのか。まじで人の頭を
不当に刈っていたのか。





「ーーー近頃、秘密裏に売買されている薬がある。
使用すればハイテンションな状態を持続させ、
何故か一つの物に対して異様な執着を見せる。
例えば靴や服・・」

「失敬な！私は薬なんて使わずとも
ハイテンション髪フェチですよ！これは天然です！
生まれ持ったもの！！」

「それはそれでやべーだろ」



まじでこの案件の参考人として連行したのか。
土方の野郎、手詰まり状態がかなり効いてきてる
いいぞそのまま疲労でくたばれ。



(ーーいやしかしまあ、言われてみりゃ当てはまる)



元々は惚れ薬のような役割で売り出されたようだが、
効果は"人"への執着だけに止まらなかった。
まあ、つまるところは失敗作だ。

あの女が異様な髪フェチであることは事実だが、
服用者とは考えにくい。

・・と、真面目に考察しても仕方ねェ。

取調室から響くキンキン声は、諦めることなく
自分の真実を主張し続けている。



「もう！そんなに疑うなら、体の隅々まで調べれば
いいじゃないですか！ほら！脱ぎましょうか！？
ピチピチ生娘の純粋な体を弄ぶがいいわ！
ちなみに結構ナイスバディですよ私は！」

「聞いてね・・っておい脱ぐな」


そこで重い鉄の扉を開ければ、着物の合わせに
手をかけた女と、呆れ顔の土方さん。
この男は数分でまた老け込んだようだ。




「ーーーはーい、そこまでです土方さん。
取り調べにかこつけたセクハラ現行犯で逮捕」

「は！？」

「あれ、沖田さん」


こいつは旦那の知り合い。深く関わると面倒になると
俺の本能が告げている。

男子達→←ホイホイ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す