【銀魂】カ ミ サ マ

世に言うアレ ページ12

ー総悟サイドー



ーーーこれが世に言う絶望というやつか。

前言撤回。子兎じゃねェ、化け兎だ。




「私だって昼夜問わず沖田さんのことを
考えてるんですから！」

「・・・そりゃ暇なこって」




旦那の知り合いとなると、やはり例にもれず無職か
類は友を呼ぶたァよく言ったもんで、
存外間違っちゃいねェわけだ。

まあこいつが無職だろうが社長だろうが、今俺が
面倒ごとに巻き込まれている事実は変わらねェが。




「・・で、あんたは見事俺と再会できたわけだが
こっからどうすんでィ」

「ふふふ、やっと観念しましたねぇ」



一つ言っておきたいのは、俺がその気になれば、
この状況から逃げ出すことは容易いのだと
いうことだ。つまり、観念したわけではない。

小娘がいくら小手先の技を覚えたとしても、
戦場を走り回る俺に勝てるわけがねェ。馬鹿が。




ーーー何故俺が、おとなしくこの女に付き合って
やっているのかというと、理由など一つだ。

今ここで逃げても、素性がバレている以上、
同じことの繰り返しだ。屯所まで押しかけられては
ちと面倒なことになりかねない。


即ち、こいつとの関わりを断ち切るための戦略的な
休戦である。




「では！そこのカフェに入って、一旦お互いの
自己紹介と洒落込みましょうよ！」

「・・そこはスタンダードなんだな」

「いやぁ、はじめの印象って大切ですからね！」

「もう手遅れじゃねェか」



なにせ出会いがあれだ。いまだ自分の印象を
操作できると思っているならば、こいつは相当な
バカだということになる。

とにもかくにも、大人しく機会を伺う他はない。
甘ったるい匂いを充満させるカフェの中へ
俺は子兎のあとを渋々ついていくことにした。







「ーーでは、改めて！滝沢Aといいます！
ピッチピチの23歳！独身！趣味は髪を愛でること！
好きなものは、沖田さんの髪！日課は、自分の髪に
話しかけること！決して怪しい者ではありません！
どうぞ末永くおたくの髪をブラッシングさせて下さい！」

「怪しい者以外の何者でもねェな」



変態に次ぐ変態の応酬。変態が渋滞している。

大体だ。こいつの目的は俺の髪であって、
俺ではない。つまり、相槌を打つ必要性すら
ないんじゃないのか。

・・いや、それはそれで何か気に食わねーな。



まずいコーヒーを啜りながら、
意味不明なプライドが顔を出す。

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