【銀魂】うまく生きる為の方法

三杯目からの話 ページ29

ー銀時サイドー


いつものように相談室付近でまちぶせる俺に、
しかめっ面の女が近づいてきたのは、
営業時間終了20分後。



「・・あんたさ、ほんとアホだね」

「出会い頭に悪口か。挨拶もまともにできねーの」

「うるっさい」



マフラーをぐるぐるに巻いて、
なお震えているそいつを見下ろす。

なるほど。このクソ寒い中よく外で待てるなと
言いたいらしい。





「馬鹿者って感覚さえ馬鹿なのかな。それとも何？
気温に応じて体温調節できる系？」

「お前俺のこと何だと思ってんだよ」



こいつが饒舌になるとき、少なからず今は、
照れ臭いんだろうということがわかってきた。

前と比べて、警戒心も溶けてきたらしいそいつは
歩き始めた俺に自然と並ぶ。


ーーーむず痒いような感覚に襲われた。





「本当に暇なんだね、万事屋サンは」

「何言ってんだよ。今からオシゴトだろーが」

「私は依頼してませんケド」

「そうだっけか」

「悪徳商売」



悪徳だ何だと言いつつも、こうしていつも
最終的には俺についてくる辺り、

ストレス発散口を求めてんだろうって俺の予想は
ハズレってわけでもない。


以前来たことのある例の居酒屋に入れば、
今日は思いの外、客入りがいいらしい。

顔を真っ赤にしたオヤジどもが、上機嫌に
酒を酌み交わしていた。









「ーーそういや、例のラブレターへの返事、
どうすんだよ」

「いや、どうするも何も・・、」



その話題に移ったのは、
Aが三杯目に突入した頃だった。




「どう考えても、まだ中高生からのものだし。
・・こういう場合って、百発百中勘違いなわけ」

「んなこたァわかんねーだろ」

「はっ、素人が」
「んだと！？」



難しく顔をしかめたそいつは、
今までもなかったわけじゃない、と呟いた。




「弱ってる時に優しくされたらコロリといっちゃう
のが青春男子のサガってやつでしょ。私の役目は、
ほしい言葉や解決策を見つけてあげることだし。
導いてくれた美人な年上に惚れることを止めるのは
ほぼ不可能なわけだ」

「さらっと自分のこと美人とか言ってんなよ」

「しかもうちは病院じゃないからさー、
"病院で治療を受けてる"って感覚じゃなくて、
美人なお姉さんに慰めてもらってるって
なるわけよ。で、勘違いする」

「お前言うほど美人じゃねーぞ」

「もう奢らねぇ」
「Aサン超絶美人デス」



酔ってんな、こいつ。

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