【銀魂】可もなく不可もなく

来世に期待 ページ10

「ーーというわけで、意外も意外、私は平々凡々なノーマル女子だったわけなのです」




話し合えた私に、拍手が来るわけでも
労いが来るわけでもない。ただひたすらに、
辛い日々の思い出に浸るのみ。

湯飲みの中のお茶もすっかり冷めた頃、
銀さんはといえば、苦笑まじりにこちらを見やり。







「いや、意外っつーか、・・溢れ出てるよな」

「・・はい？」




隠す気ゼロとはこのことか。
悪意は感じないが善意も感じない。

そりゃ認めるよ。私が普通すぎることは。
ーーでもね、実際人に言われてしまうとなんていうか複雑っていうか腹立つっていうか。





「ごく普通の家にすむ普通の定食屋でアルバイトする趣味は普通に読書な女。実家は農家でじゃがいも
作ってる。・・完全に典型的な平凡の見本みてェな
もんだろお前」

「え」

「何このテンプレみてェなプロフィール」

「ぐっ」

「加えて成績も平凡。勉強も運動も普通となりゃ
むしろすげェんじゃねーの？」


「死にます」
「ちょちょちょ待て！！」



さらばこの世。ウェルカム死の世界。
ここまではっきりくっきり言ってきたの
寺子屋一緒だったガキ大将以来だ。

オブラートにすら包まず濃い原液でぶっかけられた
もう立ち直る術がない。






「来世に期待します」
「いや落ち着け！まず今世に希望を見出せ！」


「銀さんが私にトドメを刺したんですよ。
末代まで呪ってやる」

「別に貶したわけじゃねーだろ！？」




来世は、キラッキラなド派手な美女に生まれ変わって人生をたっぷり謳歌したい。

とりあえず、オール3を脱却したい。






「・・とにかく、来世に行くのはちょっと待て。
まああれだ、傷を抉ったことに関しては悪かった」

「いえ。私は昨日の失態を謝りにきただけなので」




もうこれ以上この人と向き合っていたら、
本当に来世にゴーしてしまうかもしれない。
川に飛び込むかもしれない。

目的は果たせたし帰ろう、と席をたったとき、
ーー目の前の銀さんは「待てって」と。
残酷にも、さらに私の傷を抉ろうというのか。







「別に、ノーマルがいけねェってわけじゃ
ねーだろ？何をそんな悲観的になってんだよ」


「単純に周囲の反応です。皆さん私の平凡さを
面白おかしくなじります」

「そりゃ一部だろ」

「大半です」




ふーん、と小さな反応。
どうにもこの人は私の話に納得していないらしい。

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