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良い奴 ページ11

ー銀時サイドー




平々凡々と平和の中暮らしてきたと思っていた
女が、目の前で不愉快そうに眉をひそめている。
人ってのはいろいろ抱えてるもんだな。




(ーーー普通が嫌ってのァ)



また変わった悩みだ。






「・・・突出した何かがないと、みんな私を覚えて
くれません。全てが平均だということは、
得意なこともない。個性もない。つまり何もない」



機械的な声が万事屋に響く。据わった目の光のなさ
が、そいつの苦労を物語っていた。
来世に期待とまで言わせる真意とはなんなのか。






「ーーーお前のこと覚えてる奴くれェいる」


「・・・そんなの、親と店長くらいですよ」
「俺とかな」

「え?」





がばり、起き上がったツラ。

痺れてきた足を組み替えた俺は、鼻に指を突っ込み
あくびを一つ。








「ーーー昌山A。フリーター。気立ては良い。
確かに絵に描いたような平凡さだが、
・・"普通に"良い奴だし」





ただ、真昼間に押しかけてきて、突然謝って
そのあと自分の不幸自慢を始めたAが
面倒臭っただけだ。・・・たったそれだけで、
らしくもねェ言葉吐いちまったわけだが。







「・・・良い、奴?」

「何だよそのツラ」




狐に包まれたようなツラしてやがる。
不思議そうに、心底わからないといいたげに
こちらを見やるそいつは、目を見開いた。





「初めて言われました」

「ま、平凡さが悪目立ちしてんだろ」




こいつがどんな人生を送ってきたのかについては
心底興味がねーが、・・短い付き合いながら、
そんなことで悩む必要はないと思ったのだ。






「ーー銀さん」

「何だよ」


「私、今世にも少しだけ希望を見出せたかも」

「そりゃ結構なことじゃねーか」





決して大きいとは言えない平均サイズの瞳。
それをめいいっぱい開き、キラキラと輝かせるA

案外単純なのかもしれねーな、とテキトーな感想を
抱きつつ、一つ息をつく。




「そうですよね。中間を埋める人種がいなければ、
この世のバランスが崩れますしね」





多少は悩みも晴れたらしく、そいつは機嫌良さげに
喋りながら、冷めた湯飲みの中身を飲み干した。

いいじゃないか→←来世に期待



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , ギャグ   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - インクさん» 変換ミスです。申し訳ありません!ご指摘、本当にありがとうございます! (2018年4月1日 1時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - スマートに の話の1部分「孫にも衣装」→「馬子にも衣装」です (2018年3月31日 23時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ♪( ´θ`)ノさん» ありがとうございます!ありがたきお言葉…!惚れ惚れしていただける作品…かけるよう頑張ります!よろしくお願いいたします! (2018年2月18日 11時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!お時間ありましたら、のぞいてやってください!いつも感謝です! (2018年2月18日 11時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
♪( ´θ`)ノ - いつも更新を心待ちにして居ります。シュシュ様の物語に惚れ惚れとして居ります!これからも執筆頑張って下さいね (2018年1月27日 17時) (レス) id: 1b93fa20e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月22日 23時

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