正面突破 ページ14
寒いし雨だし。あーやだやだ。
仕事じゃなかったらこの大量の宅配物をそこらへんに撒いて帰りたいくらいだ。
店のマークが入ったスクーターを乗りこなし、
目的地まであと少し。ーー立派な門が見えてきたのは、それから数分後だった。
「定食屋江戸飯、宅配サービスです」
雨のせいか、いつもいる門番の男性はいない。
重い荷物を肩にかけ、長靴すら無意味になりそうな
土砂降りの中、門をくぐる。
ここって、玄関的な、インターホン的な何かは
ないのだろうか。ぐるぐると見渡してみたが、
特にそれっぽいものは見当たらず。
「・・・お江戸を守る警察集団が、私ごときに
正面突破されるなんて、腹がガラ空き」
「ーーそりゃ悪かったですね」
「ひぎゃぅ!!」
背後に気配などなかったはずだが。
ぽつんと落とした悪口が拾われ、心臓が痛い。
まずい。一応ご贔屓にしてくれている人たちだ。
気分を害されたとなったら____。
一気に血の気が引いていく。
カクカクと振り返れば、ーー想像通りの人物。
「・・どうもこんにちは、沖田さん」
「ごくろーさんですAさん」
ここは、ーーー特殊武装警察、真選組。
凶悪事件を日々追いかけているというが、
この人を見ると、そんなすごい幕臣だということを
一瞬忘れてしまう。
甘いマスクで世間を騒がせているこの人は、
沖田総悟さん。性格は実はあまり爽やかでは、ない
そんな失礼なこと言えないけど。
傘をさした沖田さん。さすがはイケメン。
雨もよく似合う。
「唐揚げ定食、二十人前ですね」
「あ、こっちどーぞ」
縁側へと通された私は、ようやく重いそれを
肩から下ろしたのだった。隣に腰を下ろした沖田さんは、こちらをじっと見つめている。・・嘘。
この人と二人?
実を言いますと、私はこのイケメンが苦手だ。
というのも、
「・・・何ですか」
「ーーーあいもかわらず平凡極めてますねィ」
そのきっかけワードが、私を爆発させると
わかった上で、あえて吐き出すのだ、この男は。
それも心底楽しそうな顔で。
「アハハ」
「ここで反撃してこねェってのも平凡要素ですぜ。
胸ぐら掴んで揺さぶるくれェしねーと。脱却してェ
ってんなら、狂気的になれ」
「警察相手に?」
「俺ァ好きですぜ。狂い暴れる人間」
「狂気的なのはあなたですね」
私だって、できるもんならこの男の胸ぐらを掴んで
揺さぶって殴り飛ばしたいよ。でもそんなこと、
現実的にできるわけない。
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シュシュ☆☆(プロフ) - インクさん» 変換ミスです。申し訳ありません!ご指摘、本当にありがとうございます! (2018年4月1日 1時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - スマートに の話の1部分「孫にも衣装」→「馬子にも衣装」です (2018年3月31日 23時) (レス) id: 2fb63eb0d6 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ♪( ´θ`)ノさん» ありがとうございます!ありがたきお言葉…!惚れ惚れしていただける作品…かけるよう頑張ります!よろしくお願いいたします! (2018年2月18日 11時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!お時間ありましたら、のぞいてやってください!いつも感謝です! (2018年2月18日 11時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
♪( ´θ`)ノ - いつも更新を心待ちにして居ります。シュシュ様の物語に惚れ惚れとして居ります!これからも執筆頑張って下さいね (2018年1月27日 17時) (レス) id: 1b93fa20e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月22日 23時